判決のポイントは「事故がどれだけ衝撃的か」だった?
また、調査・説明義務の点についても、上記の事情に加え、
- 売主も仲介業者も事故の存在を知らなかった
- 購入した買主自身も、購入してから1年以上経つまでこの事故の存在を知らなかった
という事情を踏まえ、
「本件売買契約当時において、本件土地の売主および仲介業者は、通常の取引過程において、本件火災事故の存在および本件火災事故により死者が発生した事実を知り得たということはできず、また、上記事実の存否につき調査すべきであったともいえない」
と判断しました。
このように、本件事例では、事故がかなり昔の出来事であり、また、現在の土地の状況から火災死亡事故の存在を伺わせる兆候もなかったことを理由として売主、仲介業者の責任を否定したものです。
ただし、この事例では、裁判所は、この火災死亡事故については、
「本件土地上での本件火災事故の発生および死亡者の発生という事実は、現在も多くの近隣住民の意識のうちに鮮明に記憶されていると主張するが、これを認めるに足りる的確な証拠はない」
と述べていますので、逆に言えば、この事故が近隣住民の記憶に長年残るような衝撃的な事故だった場合には、結論が変わっていた可能性はあります。
以上を踏まえると、売主および仲介業者としては、特に買主がそこに長く留まることが前提となる居住用の土地の売買に際しては、可能な限り土地の歴史については調査しておくことが無難と言えます。
※この記事は2019年7月9日時点の情報に基づいて書かれています(2023年11月24日再監修済)。
北村 亮典
弁護士
大江・田中・大宅法律事務所
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