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「価値観の違う相手とどう話せばいいのかわからない」「こちらの話は聴いてもらえず、一方的に話されてしまった」コミュニケーションの悩みは尽きないもので、ちょっとしたことで相手に不快感を覚えたり、逆に不快感を与えてしまったりすることは多々あります。研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任し、25万人以上への指導経験を持つ、日本アンガーマネジメント協会理事である戸田久実氏の著書『アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術』(日経文庫)より、一部抜粋して紹介する本連載。特に職場のコミュニケーションを円滑にし、人間関係を劇的に改善する「傾聴」の極意について紹介します。 

聴ける人=「好かれる人」である

「傾聴は最大の愛情表現」これは、20年ほど前に心理学の講座を受けたときに言われた言葉です。関係性にもよりますが、愛情の表現方法にはさまざまなものがありますね。

 

「大好きだよ」 「あなたは、〇〇がよいところですね」 というように、相手を大切に思っていると伝えることも愛情表現のひとつです。また、相手が話しやすいように反応を返したり、話に最後まで耳を傾けたり、ときには相手の気持ちに寄り添って共感したりすることが、最大の愛情表現になることもあります。

 

実際に、無視をされた経験や話を聴いてもらえなかったという孤独感は、精神的にこたえるものです。

 

これを逆に考えると、話をきちんと聴くのは、話し手の心の支えになり、大事にされていると思えるような愛情表現にもつながります。そのことが無意識に伝わっているからこそ、多くの人がじっくりと話を聴いてくれる人に対して「この人に話してみようかな」「この人に連絡をとりたいな」と思い浮かべるのでしょう。そう考えると、口下手な人や積極的な対話ができない人であっても、聴く力を磨くことで、十分に人から好かれる人になることができると言えますね。

心理的安全性のある職場とは

心理的安全性が目指す要素のひとつに、立場が違ってもキャリアや考え方が違っても、対等に建設的な議論を交わせることが挙げられています。これを実現するには、話し手が誰であろうと、相手の話に耳を傾けられる環境であることが不可欠です。

 

話を聴いてもらえない、意見を遮られる、否定される……という環境では、心理的安全性が成り立ちません。率直に自分が思ったことを意見できること、提案できること、「わからない」と言えることも、欠かせないコミュニケーションなのです。相手の話を頭から否定したり、批判することなく、遮ることもなく、耳を傾け合う関係を築いていきましょう。この積み重ねが、チームや組織で理想的な環境をつくり上げていくことにつながっていきます。

次ページ“無意識のうちに”相手が話しづらい聴き方をしてはいないか
アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術

アクティブ・リスニング ビジネスに役立つ傾聴術

戸田 久実

日経BP 日本経済新聞出版

●「聴く」ことは仕事を推し進めること 相手の話をじっくり聞くことで相互の理解が深まるという「傾聴」。実際、心理的安全性を高めることで相手が話しやすくなるなど、コミュニケーションが改善する効果がある。 そうい…

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