なぜ、賃貸住宅マーケットへの影響が大きいのか⁉
冒頭で、この制度は、賃貸住宅マーケットに最も大きな影響を及ぼすだろうと述べました。その理由は、大きく次の2点です。
①賃貸住宅居住層の知識や意識に変革が起こる
②マイノリティである高断熱賃貸住宅への居住を望む層と供給がわずかな高断熱賃貸住宅とのマッチングが容易になる
この2点について、順に説明します。
賃貸住宅居住層の知識や意識に変革が起こる⁉
日本の住宅の省エネ性能や断熱性能が諸外国に比べて劣っています(関連記事:『日本の住宅は「先進国中、ダントツで低性能」…“寒さ、結露、高い光熱費”は当たり前ではない』)。国の法制度改正や住宅系YouTuberの積極的な情報発信の効果もあり、注文住宅の新築を考えている層は省エネ性能や断熱性能にこだわる人々は、明らかに増加傾向にあります。そのため、ハウスメーカーや工務店は、断熱・気密性能のレベルによって、勝ち組と負け組が明確に分かれつつあります。
一方で賃貸住宅居住している層については、現在のところ住宅性能に関する知識や関心は依然として低いままです。
筆者は最近、「注文住宅の新築を検討しているグループ」と「賃貸住宅に居住中で転居は特に検討していないグループ」に対して、インターネットによる住宅性能の関する知識や関心の度合いに関するアンケート調査を独自に実施しました。それぞれのグループからは、500件以上の回答が得られており、非常に興味深い結果が出たため、現在まとまったかたちで発表する準備を進めています。
本稿ではそのさわりだけ紹介しますが、「注文住宅の新築を検討しているグループ」に比べて、「賃貸住宅に居住中で転居は特に検討していないグループ」は、住宅性能に関する知識や関心が大幅に低いことが明らかになりました。
また、「賃貸住宅に居住中で転居は特に検討していないグループ」に対して、住宅の断熱・気密性能を向上させることによる健康・快適性・経済的なメリットに関する情報を提供したところ、メリットを知る前に比べて、高気密・高断熱の賃貸住宅の家賃への上乗せ意欲がかなり高まることも明らかになりました。つまり、情報発信等の啓蒙活動の推進により、高断熱賃貸住宅の事業性が高まる可能性が高いということです。
さらに、現在の住まいの不満項目(冷暖房光熱費負担、夏の暑さ、冬の寒さ、カビが生える、結露のひどさ等)の不満の度合いと、高断熱住宅に対してどの程度家賃を上乗せしてもいいかという設問との間の因子分析を行ったところ、他の項目に比べて、「結露のひどさ」に悩んでいる人の家賃の上乗せ意欲が他の不満項目に比べて圧倒的に高いという結果が得られました。
一方、「高気密・高断熱住宅に暮らすことのメリットとして、『結露が生じにくくなる』ということを知っているか?」という問いに対しては、賃貸住宅居住層の29%が「結露が生じにくくなる」ことが「信じられない」と回答しています。つまり、結露のひどい暮らしに悩みながらも、住宅の断熱性能と結露との関係について知らない人がまだまだ多いのです。そのような方々が、高気密・高断熱のメリットを知るようになれば、性能を重視して賃貸住宅選びをする方が増えることは間違いないでしょう。
今回の表示制度の開始により、賃貸住宅を探す人も、大手不動産情報サイトで検索する度に、省エネ性能・断熱性能の評価を目にするになります。このことで、間違いなく知識・関心が増すものと思われます。さらにSUUMOを運営する株式会社リクルートは、「消費者への発信を通じて、周知浸透を図っていく」方針も明らかにしています。
これらの動きは、賃貸住宅居住層の住まい選びの基準に今後大きな影響を及ぼすものと考えられます。選ばれる賃貸住宅であるためには、断熱性能や省エネ性能の重要性が増すことは間違いないでしょう。
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