写真提供:坪井当貴建築設計事務所

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは、2024年4月から始まる「賃貸住宅も対象とした省エネ性能の表示制度」。日本の住宅マーケットを変え、今後の住宅の資産価値にも影響を及ぼす可能性があるといいます。みていきましょう。

これから新築するならば、BELSは取得しておくべき

この制度で、「第三者評価」の有無が表示されますが、これは、「BELS」(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)という第三者評価取得の有無を指します。BELSは、建築物省エネ法第7条に基づき建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度の1つで、一般社団法人 住宅性能評価・表示協会が運営しています。

 

これから性能にこだわった住宅を新築する方は、施工業者に「BELS」を取得したい旨を伝えることをお勧めします。

 

【図表2】
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最低でも断熱等級5、できれば断熱等級6を確保しておきたい

2025年4月から、省エネ基準(断熱等級4)への適合が義務づけられます。そして2030年にはこの義務基準が、断熱等級5に引き上げられることになっています(関連記事:『新築なら〈100年住める〉はずなのに…日本人が軽視する、4つの「住宅性能」』)。

 

つまり、少なくても断熱等級5を確保しておかないと、2030年には最低基準を満たさない性能の家として、広告しなければならなくなるということです。分譲住宅や注文住宅も、将来に渡り資産価値を維持するためには、なるべく高い評価を取得しておくべきでしょう。

 

【図表3】¥
【図表3】

 

なお、我が国の省エネ基準等では、住宅の断熱性能はUA値で表されます。各住宅の断熱材の種類や厚さ、窓等の開口部の性能等を基に、住宅ごとに計算して求められるもので、値が小さいほど高断熱であることを意味します。地域ごとの気候に合わせて1地域から8地域の8つの省エネ地域区分が定められそれぞれの地域ごとに断熱等級4(省エネ基準)から断熱等級7のそれぞれの断熱性能が表のようにUA値で定められています。

 

【図表4】
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【図表5】
【図表5】

『SUUMO』などの物件検索サイトでも表示される

この制度では、賃貸住宅については新築時の賃貸開始時だけでなく、将来的な再賃貸時にも表示し続けなければなりません。脱炭素社会を見据えて、家庭部門の省CO2が喫緊の課題になっています。そのため国は、次々と法改正を進め、我が国の住宅の省エネ性能や断熱性能を急速な勢いで高めていこうとしています。

 

このことを見据えると、空き家率がますます高まる中で、将来も選ばれる賃貸住宅であり続けるためには、将来的な最低でも断熱等級5、できれば断熱等級6を確保するべきでしょう。

 

そして、不動産情報サイト『SUUMO』を運営するリクルートは、国のガイドライン公表後すみやかにプレスリリースを行い、この制度に対応することを表明しています。各物件の情報に、この制度のラベルが表示されることになるようです。

 

これから、賃貸住宅を新築するのならば、この制度を意識することは、必須になります。

 

【図表6】
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