(写真はイメージです/PIXTA)

2022年以降の金利上昇によって、アメリカでは変額年金の販売が減少し、代わりに定額年金の販売が急増しました。なかでも第4の年金とも呼ばれる「RILA」は、年々販売量を伸ばしています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、新たな年金「RILA」を中心にアメリカの個人年金について分析します。

運営好調時「契約者」に付与される3つの反映方式とは

4|運用好調時に契約者に付与する利回りは、キャップ方式が多い

運用成果がプラスの場合、契約者価格への反映方式として、キャップ方式、組入割合方式、運用トリガー方式が考えられる。現在販売されているRILAでは、主に、キャップ方式が採用されている。

 

(1) キャップ方式

フロア方式の反対で、契約者が受け取るリターンに上限を設定するもの。

 

たとえば、10%キャップに対して、運用成果が8%の場合は、キャップに達していないのですべて契約者のリターンとなり、8%の利回りとなる。運用成果が18%の場合は、キャップに達しているため、契約者のリターンは10%分だけとなり、10%の利回りとなる。

 

(2) 組入割合方式

運用成果の一定割合を契約者のリターンとするもの。運用が好調なほど、契約者のリターンが増える。たとえば、90%の組入割合に対して、運用成果が8%の場合、契約者リターンは7.2%(=8%×90%)となり、7.2%の利回りとなる。

 

(3) 運用トリガー方式

運用がプラスもしくはゼロである場合、その多寡によらず、契約者は一定率の利回り(パフォーマンス利率)を得るというもの。

 

たとえば、パフォーマンス利率8%の場合、運用成果が10%の場合でも、1%の場合でも、契約者のリターンは8%となり、8%の利回りとなる。

 

5|手数料をゼロとして、運用成果が契約者のリターンにダイレクトに反映する仕組みの商品が多い

RILAは、保険商品である以上、契約管理や販売管理等の諸費用がかかる。保険会社によっては、その費用を手数料として、契約者リターンから差し引くケースもあるが、大半の会社では手数料をゼロとしている。

 

これは、手数料をゼロとすることで、運用成果と契約者リターンの関係を単純化して、顧客のわかりやすさを高めることを狙ったものとみられる。

 

なお表向きは手数料をゼロとしていても、保険会社はバッファやフロア、キャップ等の設定において、諸費用を織り込んでいるものと考えられる。

 

たとえば、過去の運用実績からバッファを15%と設定できる場合でも、あえて10%と設定して、差の5%分を諸費用の負担に充てるといった方法である。

 

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次ページ5―RILAへの保証特約の付加

※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月3日に公開したレポートを転載したものです。

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