(写真はイメージです/PIXTA)

20年から継続されたゼロコロナ政策が23年に終了した中国では経済の回復が期待され、実際23年第1四半期のGDP成長率は前期比+2.2%と持ち直したものの、勢いは続きませんでした。本稿では、ニッセイ基礎研究所の三浦祐介氏が、中国経済の先行き不透明感について解説します。

いまだ拭えない中国経済の先行き不透明感

中国では、2020年のコロナウイルス流行から長らく継続されてきたゼロコロナ政策が2023年に入り終了し、その反動による経済の回復が期待されていた。実際、2023年第1四半期(1~3月期)の実質GDP成長率は、前期比で+2.2%と、前期(2022年10~12月期)の同+0.5%から持ち直し、回復した。

 

ただ、その勢いは必ずしも強くなかった(図表1)。また、第2四半期には同+0.8%と低下し、経済のリバウンドは早々に一服した。7月以降も、内外需とも弱い状況にあり、いまだ経済の先行きに対する不透明感は拭えない。

 

経済がふるわない最大の要因は、不動産市場の低迷だ。ゼロコロナ政策の影響で販売が悪化したことに加え、2020年に不動産デベロッパー向けの債務規制が強化されて以降、一部デベロッパーの資金繰りが悪化し、物件の施工および買い主への引き渡しが滞るようになった。

 

中国では、物件の完成前に売買契約をし、住宅ローンの支払いが始まる「予約販売」形式が主であるため、物件引き渡しの遅れに不満を抱いた買い主の間で、住宅ローン支払いボイコットの動きが22年7月以降広がった。

 

こうした混乱による不安から住宅の買い控えが拡大し、住宅市場の悪化が一段と進んだのだ。事態を重くみた中国政府は、物件引き渡しを安定的に進めるための対策をとったが、即効性を欠くものであり、不動産市場の不安定な状況は継続している。

 

住宅販売面積と住宅販売価格の四半期毎の前年比は、ともにマイナスの局面から脱しきれておらず、23年4月以降は再び悪化する動きもみられる(図表2)。その結果、不動産開発投資や、家具・家電等といった住宅購入に付随する消費の落ち込み等、経済への下押しが続いている。

 

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月4日に公開したレポートを転載したものです。

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