(写真はイメージです/PIXTA)

2022年以降の金利上昇によって、アメリカでは変額年金の販売が減少し、代わりに定額年金の販売が急増しました。なかでも第4の年金とも呼ばれる「RILA」は、年々販売量を伸ばしています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、新たな年金「RILA」を中心にアメリカの個人年金について分析します。

5―RILAへの保証特約の付加

変額年金では、運用で損失が生じて資産(アカウント・バリュー)が減ってしまった場合でも、終身に渡り、引き出しを保証する終身引出額保証特約(Guaranteed Lifetime Withdrawal Benefit, GLWB)が付加される場合がある。

 

2018年より、このGLWBをRILAに付加して、RILAの販売促進を図る動きが出ている。

 

1|GLWBの保証内容は高度化する傾向

GLWBはアカウント・バリューの増減に応じて、引出可能額が変化する“アカウント・バリュー給付型”が基本となる。

 

近年は、アカウント・バリューが減少した場合にも、引出可能額が減らない“ステップアップ型”や、引出可能額が切り上がる“ロールアップ型”のGLWBも出現している。

 

一般に、保証の内容が充実すると、保証コストが上昇して、特約の料金(フィー)に反映されることとなる。

 

2|保険会社はGLWBに関するリスクを負う

保険会社側からすると、保証内容の充実は、さまざまなリスクが高まることにつながる。

 

例えば、保証に係るキャッシュフローを複製するヘッジ等の金融商品が市場で枯渇するリスク。引出給付の設定に伴う負債デュレーションの長期化により、資産と負債でデュレーションのミスマッチが生じるリスク。

 

契約者の解約行動が想定と異なることによる動的解約リスク、などが考えられる。

 

このため、確率的モデリングを行うなど、複数のシナリオでのシミュレーション計算をして、その結果をもとに、これらのリスクを定量化して、リスク管理を強化することなどが行われている。

6―おわりに (私見)

アメリカではRILAが、2010年の発売以来初めてとなる大きな金利上昇局面を迎えた。図表2で見たとおり、これまでのところ、金利上昇の影響は、変額年金から定額年金へのシフトという形で表れている。RILAの販売が急増する動きにはつながっていない。

 

ただ、RILAは取り扱い保険会社数が増えつつある。GLWBのような変額年金向けの保証特約をRILAに付加することにより、RILAの販売促進を図る動きも出ている。

 

今後、一層、貯蓄性商品としての認知度が高まれば、保険会社にとっての収益・リスクが高まることも考えられる。

 

今後、RILAに対する市場動向や保険会社の動きが注目される。日本でも、同様の貯蓄性商品の開発について、検討が始まる可能性がある。

 

引き続き、RILAを巡る動きをウォッチしていくこととしたい。

 

(参考文献)

 

「投資環境データ」(野村総合研究所)

“U.S. Individual Annuity Yearbook”(LIMRA)

“Annuity Sales Estimate”(LIMRA)

“Intro to Structured Annuities”Andrew Phillips(2019 SOA Annual Meeting, Session 175)

“RILA and VA GMxB U.S. Statutory Reporting Offsets: Implications to Pricing and In-force Management” Nicholas Carbo, Carson Cook, and David Elliott (Product Matters!, SOA, February 2023)

“RILA GLWB Designs and Market Risk Analysis”Matt Heaphy, Nicholas Carbo, and David Elliott(Product Matters!, SOA, June 2023)

 

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    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月3日に公開したレポートを転載したものです。

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