ハンバーガー店で「毎回同じ量のケチャップをかけてハンバーガーを作る」ができない従業員…「かける訓練」より有効な、根本的解決策【経営コンサルが解説】

ハンバーガー店で「毎回同じ量のケチャップをかけてハンバーガーを作る」ができない従業員…「かける訓練」より有効な、根本的解決策【経営コンサルが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「仕事ができない人」に頭を悩ませている経営者も多いでしょう。残念ながらそうした従業員は一定数おり、彼らを活躍させられるかどうかが経営陣の腕の見せ所です。本記事では、中小・成長企業の経営陣に向けて、仕事ができない人への対応と指導方法について、仕組み経営株式会社の取締役・清水直樹氏が解説します。

仕事ができない人への対応と指導方法

基本姿勢を見てきたうえで、仕事ができない人への対応と指導方法をより具体的に考えてみましょう。

 

1.適材適所で「できない」を「できる」に変える

人にはそれぞれ素質があります。現在の部門で仕事ができないと思われている人であっても、別の部門で別の仕事を任せれば、別人のように成果を発揮することがあります。

 

たとえば、研究職や事務作業のように比較的一人で考えたり、作業を行うことが得意な人もいれば、営業や顧客サービスなどのように対人での仕事が得意な人もいます。その特性を生かさなければ、せっかくのいい人材も埋もれてしまいます。

 

■苦手分野を克服しても得意にはならない

筆者個人の例で言えば、学生のころから人付き合いがあまり好きではなく、対人コミュニケーションもそんなに得意ではありませんでした。

 

当時から起業して成功したいと考えていた筆者は、ビジネス書で、「起業するには、最初は営業の仕事に就いて、営業力を高めたほうがいい」と書いてあったのを見つけました。そこで、本当は苦手な営業職に就くことにしたのです。もともと対人コミュニケーションが苦手ですから、最初はとても苦労しました。

 

ただ、苦労した分、営業についてたくさん勉強しました。本で読んだ営業方法やコミュニケーション方法を実践で試す、ということを繰り返すうち、苦手だったコミュニケーションが嫌でなくなり、そこそこ成績を出せるようになりました。

 

逆に、もともとナチュラルで対人スキルが高かった人たちは、自分でしゃべるのが得意だと考えているので、さして勉強もしていなかったように思えます。

 

そんな感じで苦手は克服できましたが、とはいえ、営業が最高レベルで得意になった、というわけでもないのです。やはりもともとの資質は1人でなにかを調べたり、作業したりするほうが得意なのです。

 

そのため、自分で適材適所を見つけ、いまは得意分野を伸ばし、活かせる仕事だけに取り組むようにしています。

2.仕事をできるようにする2つの方法

次に、「人を直すのではなく、仕組みを直す」の具体的な話です。社員が仕事ができない、ということは、

 

求められる仕事の基準に対して、その人の能力が低い

 

ということになります。であれば、対処法としては2つあります。ひとつは、

 

その人の能力を高めて、求められる仕事の基準に達するようにすること

 

です。多くの会社では、仕事ができない人に対してこのやり方で対処しようとしています。しかし、先にも述べたとおり、人を成長させるのには時間がかかります。そこで2つ目の選択肢があります。2つ目の選択肢は、

 

求められる仕事の基準を下げること

 

です。つまり、仕事を簡単にする、ということです。

 

3.誰がいつやっても同じ成果が出るようにする(ハンバーガー店の事例)

たとえばハンバーガー店を考えてみましょう。ハンバーガーを作るには、肉を焼いて、バンズに挟んで、ケチャップをかけて完成させます。味を大きく左右するのが最後にかけるケチャップの量だとしましょう。

 

仕事ができる人は、いつも同じ量のケチャップを正確にかけることができます。しかし仕事ができない人は不器用で、毎回かけるケチャップの量がバラバラです。こうなると毎回味が変わってしまい、お店に対する信頼がなくなってしまいます。

 

そこでどうするか?

 

ケチャップをかける動作を何度も練習させ、毎回同じ量をかけられるようにトレーニングするのが普通の会社のやり方です。

 

■「仕組みを直す」会社のやり方

しかし、もっとよい方法があります。ワンプッシュで最適な量が出るような容器に変えるのです。これにより、誰がいつやっても同じ量のケチャップが出ます。

 

ベテランであろうが新人であろうがミスをすることがありません。ケチャップの量について気を使う必要がなくなるので、別のこと(肉の焼き加減やお客様対応)に意識を使えるようになります。

 

4.マニュアルを作る

次に簡単にした仕事をマニュアル化することです。マニュアルというと日本ではイメージが悪いのですが、正しく作れば、ベテランにとっても新人にとってもうっかりミスや作業漏れを無くす有効なツールになります。

 

マニュアルは仕事の目的、手順、基準を明確にする

マニュアルには仕事の目的、手順、基準を記載します。仕事の目的とは、なんのためのその仕事を行うのか? 手順は、ステップバイステップで作業の順番を示すこと、基準とは、その仕事に求められる(主に定量的)基準です。

 

■仕事ができる人とできない人の差を埋めるのがマニュアル

たとえば、レストランでテーブルを拭くという仕事を考えてみましょう。仕事ができる人は漏れなくまんべんなく拭くことができます。一方、仕事ができない人は四角いテーブルを丸く拭いてしまい、拭き残しがあります。本人は正しく拭いたと思っていますが、仕事ができる人から見ると、明らかな拭き残しがあるのがわかります。

 

この場合の問題は、テーブルの正しい拭き方の手順を示していないことと、テーブルがキレイな状態とはどんな状態かという基準を示していないことにあります。このように、仕事ができる人とできない人の差を埋めるのがマニュアルなのです。

 

《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら

次ページできない人への「フィードバック」、いつ行うのが正解?

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧