(※写真はイメージです/PIXTA)

資生堂やKDDI、リコーなどの大手企業が導入したことで、近年注目を浴びる「ジョブ型人事制度」。従来の雇用制度「メンバーシップ型人事制度」との違いは、最初から適材適所で働くことができる点にあります。本記事では、「ジョブ型人事制度」のメリットとデメリット、具体的な導入方法について、仕組み経営株式会社の取締役・清水直樹氏が解説します。

ジョブ型人事制度のメリットとデメリット

ここまで見てきたように、ジョブ型人事制度はグローバルスタンダードともいえる雇用制度です。しかし、みなさんの企業が長年親しんできたメンバーシップ型雇用制度を捨て、新たにジョブ型人事制度を導入する前に、どんなメリットやデメリットがあるのかを確認しておきましょう。

 

メリット

メリットとしては次の3つが挙げられます。

 

1.従業員のキャリアアップに貢献する

ジョブ型人事制度は、従業員が所属する部署やポジションにとらわれず、能力や経験に応じた職務を担当することができるため、従業員のキャリアアップに大きく貢献します。これにより、従業員のモチベーションや意欲を高め、組織の士気向上にもつながります。

 

2.組織のフラット化を促進する

ジョブ型人事制度では、従業員が階層にとらわれず、能力や実績に応じて昇進することができるため、組織全体のフラット化を促進する効果があります。これにより、情報の共有やコミュニケーションがスムーズになり、組織全体の柔軟性や反応力が向上します。

 

3.フェアな評価が可能になる

ジョブ型人事制度では、職務ごとに明確な評価基準を設けることができるため、評価がフェアに行われるようになります。また、職務が明確になることで、従業員自身が自己評価を行いやすくなり、成長のための具体的な目標設定がしやすくなります。

 

デメリット

メリットと同時に、5つのデメリットも存在します。

 

1.ポジションの曖昧さがトラブルにつながる

ジョブ型人事制度では、ポジションにとらわれず、職務に基づいた評価が行われるため、ポジションの曖昧さが生じることがあります。これにより、昇進や報酬に関するトラブルが発生することがあります。

 

2.ジョブ型人事制度が定着するまで時間が必要になる

ジョブ型人事制度を導入する場合、職務の明確化や評価基準の設定、制度の周知など、多くの準備が必要です。また、従業員の考え方や文化を変えるためには時間がかかるため、導入には根気と時間が必要です。

 

3.評価基準が不明確な場合がある

ジョブ型人事制度を導入する場合、職務の明確化とともに、評価基準の設定が必要になります。しかし、評価基準が不明確な場合、従業員の評価にばらつきが生じ、不満やモチベーションの低下につながることがあります。

 

4.スキルや知識の偏りが生じる可能性がある

ジョブ型人事制度では、従業員が複数の職務を担当することができるため、一部の職務に特化したスキルや知識を持つ従業員が生まれる可能性があります。これにより、一部の職務に偏りが生じ、全体的な業務の効率や品質に影響を与えることがあります。

 

5.給与・報酬の不透明性が生じることがある

ジョブ型人事制度では、職務に基づいた評価が行われるため、給与や報酬についての評価が従来のポジション型人事制度とは異なる場合があります。このため、給与や報酬の評価が不透明になり、従業員の不満や問題が生じることがあります。

 

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