ITエンジニア、希望年収は「1,000万円以上」が最多だが…200件の回答で最も多かった〈現在の年収〉

ITエンジニア、希望年収は「1,000万円以上」が最多だが…200件の回答で最も多かった〈現在の年収〉
画像:PIXTA

少子・高齢化による人手不足が深刻化する中、IT業界での優秀な人材獲得競争が激化している。外国人人材のマッチング事業などを手掛ける全研本社は日本企業のITエンジニアに「給与」に関するアンケートを実施した。第13回目となる本稿では「ITエンジニアの賃上げ」について、同社の田中志穂・ダイバーシティ事業部シニアマネジャーが解説する。

 

ITエンジニアを対象とした給与に関するアンケート調査

全研本社が実施した日本企業のITエンジニアを対象としたアンケート調査によると、希望する給与水準は「年1,000万円以上」との回答が最も多かった。一方で現在の年収について「1,000万円以上」と回答した人は1割程度にすぎない。専門知識や技術が必要とされるITエンジニアは給与面で一定の優遇を受けているが、「現在の給与水準に満足している」との回答は3割にすぎなかった。

 

経済産業省は2030年にIT人材が最大79万人不足すると試算しており、賃上げ圧力がさらに強まりそうだ。全研本社の田中志穂・ダイバーシティ事業部シニアマネジャーが解説する。

「年収10%以上の賃上げ希望」が半数近くに

 

調査は全研本社が全国のITエンジニアを対象に7月28~30日に実施し、200件の回答を得た。アンケートで現在の年収を聞いたところ、最も多かったのは「500万円以上600万円未満」で22%だった。「400万円以上500万円未満」が16%、「700万円以上800万円未満」が14.5%で続いた。「300万円未満」は4.5%にとどまった。

 

 

「現在の給与水準に満足しているか」と質問したところ、「はい」と答えたITエンジニアは31.5%にとどまり、「いいえ」(44.5%)を大幅に下回った。「どちらともいえない」と答えた人の比率は24%だった。

 

 

それではITエンジニアはどの程度の賃金を望んでいるのか。「希望する賃上げ率」で最も多かったのは「10%以上」で43.9%を占めた。続いたのは「4%以上6%未満」で19.1%だった。「8%以上10%未満」との回答も11.5%にのぼった。資源高や円安を背景に物価の上昇が続いていることもあり、ITエンジニアが大幅な賃上げを望んでいることがわかる。

「年収500万円以上を希望」が9割

 

アンケートで「希望する年収」を聞いたところ、「1,000万円以上」との回答が28.5%を占め、最も多かった。「600万円以上700万円未満」、「700万円以上800万円未満」(それぞれ18%)が続いた。

 

そのほか、「500万円以上600万円未満」が10.5%、「800万円以上900万円未満」が8.5%で続いた。「400万円以上500万円未満」は6.5%、「900万円以上1,000万円未満」は6%だった。「600万円以上」の回答は合計で全体の8割、「500万円以上」との回答は約9割に達した。ITエンジニアが希望する年収のほとんどは、日本で働く人の平均年収である400万円台半ばを大きく超えていることがわかる。

 

「300万円以上400万円未満」は3%、「300万円未満」は1%にとどまった。ITエンジニアでは、400万円未満でも働こうとする人は非常に少ないことがわかる。ITエンジニアは、慢性的な人手不足を背景に「休みが取りにくい」「納期に追われている」「長時間の残業が多い」といった不満も多いとされる。今回のアンケートでは、「長時間労働を強いるなら、せめて給料で報いてほしい」とのエンジニアたちの切実な声が浮き彫りになったといえそうだ。
 

 

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※本連載は、P&Rコンサルティング編集協力のもと作成しています。

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