インデックス型ではコスト競争が勃発しているが
インデックス型の外国株式ファンドは足元もよく売れているが、新NISAによって2024年以降さらに売れることが見込まれる。それを見越して今春から大手運用会社間でインデックス型投信のコスト競争が再び勃発している。
過去を振り返ると2018年のつみたてNISA開始時にも、運用会社間でインデックス型投信のコスト競争が起こった。
その時の勝者が三菱UFJ国際投信であり、現在ひとり勝ち状態になっている。運用会社別でつみたてNISA対象商品(ETFは除く)の純資産総額をみると、三菱UFJ国際投信は2023年8月末時点で6.1兆円と最大になっており、そのうち5.4兆円が外国株式ファンドである。次に大きい楽天投信投資顧問の1.5兆円のほぼ4倍となっていることからもそのことが分かる【図表3】。
そんな三菱UFJ国際投信の牙城を崩すべく、大手運用会社が新NISA開始前にコスト競争を仕掛けてきた形となっている【図表4】。
まず3月にアセットマネジメントOneの『たわらノーロード』シリーズが新規設定や信託報酬の引き下げを発表した。さらに4月に日興アセットマネジメントが『Tracers』シリーズを、6月には野村アセットマネジメントが『はじめてのNISA』シリーズを新規設定することを発表した。
3社とも三菱UFJ国際投信の『eMAXIS Slim』シリーズを意識した超低コスト投信を拡充してきている。迎え撃つ三菱UFJ国際投信も各社に追随する形で3月と8月に『eMAXIS Slim』シリーズの信託報酬の引き下げを発表しており、まさに消耗戦の様相を呈している。特に全世界株式指数に連動するインデックス型ファンドで信託報酬がこれまでの半分になるなど、競争が激しくなっている。
ただ、8月もこれまで通り三菱UFJ国際投信、SBIアセットマネジメント、楽天投信投資顧問の商品(【図表2】青太字)が売れている。今のところ販売動向には大きな変化がみられず、ほぼ無風状態である。新設されたファンドは単に取り扱っている販売会社がまだ少ないだけかもしれないが、現時点では多くの投資家が積立投資などで購入する商品を見直し、入替等を行っていないようだ。