「北部:連邦主義」と「南部:反連邦主義」に分裂
東海岸の方では、北部と南部で方向性の違いが明らかになってきました。まず温暖な南部では、ヨーロッパでは栽培できない商品作物(タバコ・綿花など)を栽培できるので、イギリスなどヨーロッパへの輸出でカネを稼げます。
一方、イギリス人としては世界一の工業製品をアメリカにも買ってもらいたい。「お互い自由に貿易をしようぜ! win-winだ」と利害が一致します。
逆に、寒冷な北部は商品作物も栽培できず資源も乏しい……。でも米英戦争の頃から工業化がスタートしていて「いつかはイギリスのレベルに追いつきたい……」と高い志を持ちました。そこで北部は合衆国全体を1つの経済圏としてとらえ、国全体で保護貿易を推進しようとしました。
そうすればイギリス製品を遮断して北部の製品を南部に売り込み、北部の資本家が力を伸ばせます。でも、南部の人間は反発しますよ。「なぜ世界一のイギリス製品の価格を関税でつり上げて、粗悪な国産品を買わなきゃいかんのだ!」と考えますからね。
続いて、「連邦主義」がカギになってきます。アメリカの連邦政府に関税を課す権限を認めれば、合衆国全ての州に流入する外国製品に関税がかかります。北部はこれを求めました。
しかしアメリカでは「州政府の独立性を尊重し、連邦政府の権限は制限されるべき」という考え方が根強かったですから、南部は「関税を課すかどうかは州レベルで決める。連邦政府がイギリス製品に関税を課した結果、我々南部の人間が品質にも劣る割高な国産品を買わされるのは不当だ!」と訴えました。
「北部はアメリカ全体で保護貿易を行いたいから連邦主義」、「南部は自由貿易を行いたいから反連邦主義(州権主義)」という構造が分かればOKです。
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