「国際連盟」設立も、3国不参加でグダグダに
国際平和の維持を目的として、第一次世界大戦後に設立された国際連盟。従来のヨーロッパ諸国は、自国の軍備を強化したり同盟国を増やして、ライバルに「これは勝ち目がないや…」「簡単には勝てないぞ…」と思わせる手法で戦争を抑止しようとしてきました※。
※ これを個別的安全保障という
でも、ひとたび戦争が起これば強大な軍備や同盟網のせいで甚大な被害をもたらしてしまいます。それが未曾有の規模となったのが第一次世界大戦でした。
「集団安全保障体制」を理念とし、平和維持を目指した
低いリスクで戦争を抑止できないか? という知恵から生まれたのが集団安全保障体制です。まずA~Gの7カ国が相互に侵略しないことを約束(図表参照)。
ここで仮にEがDへの侵略を企てたとしましょう。そうなった場合、E以外のACDFG全員がEへの制裁を発動させます。E国は「1対6では勝ち目がない…」と考えて侵略を思いとどまる。このシステムは、他の加盟国が全員味方になってくれる※1ので、個々の国々は過度の軍拡※2をする必要がないのが魅力。
※1 加盟国が多いほど抑止力が高まる
※2 最低限の軍備は必要
主要国3国の不参加などの問題点により、「集団安全保障体制」が機能せず
この画期的なシステムが理解できると、同時に国際連盟の問題点が見えてきます。まず侵略国に対して、最大の抑止力となる軍事制裁を課せない※…。スポーツで例えるなら、「レッドカードが存在せず退場処分にならないから、反則やりたい放題!」みたいなものですね。
※ 経済制裁や外交的制裁のみ
次に、加盟国グループにドイツとロシア※、さらにはアメリカが参加していない(構想を立ち上げた民主党のウィルソンに対して、当時上院で多数派だった共和党が反対し加盟できず)。
※ 両国を仲間外れにするヴェルサイユ体制の方針による
これら大国に「侵略をしません」と約束させられないのは不安ですし、侵略国を抑える際の仲間にできないのは心細い。また全会一致が原則なので、制裁の詳細をなかなか決められませんでした。