海外移住で節税するための「2つのハードル」
――実際、海外に移住して節税しようとすると、どんな条件があるのでしょうか。
1.日本の非居住者であること
黒「まずもっとも重要なポイントとなるのが、『日本の非居住者であること』です」
――非居住者……ですか。これってそんなに難しいことですか? とりあえず海外に住めばいいんじゃないかと思うのですが。
黒「この要件を満たすのは、正直けっこう厳しいとお考えいただきたいです」
――そうなんですね!
黒「日本の所得税法は、『居住者』と『非居住者』で扱いが異なります。
日本は属地主義を取っているので、“日本の居住者”であれば、国内外どこでお金を稼いでも日本で課税されます。反対に“非居住者”であれば、海外で得た所得は日本から見て『国外源泉所得』となり、日本での課税は生じません。
ただしこの居住者・非居住者の分類は、滞在日数だけで判断されるわけではありません」
――そうなんですか!……ってことは海外に住んでいるように見えても、日本の居住者とされてしまう場合もあるんですか?
黒「そのとおりです。1年の半分以上海外に住んでいても、日本の居住者と判断されることもありえます」
――そうなんですね。じゃあ、どんな条件を満たしていれば「非居住者」になるのでしょうか?
黒「税務上、形式的な基準は規定されておらず、あくまでも実態を総合的にみられます。たとえば、
・国内の資産
・生活の本拠
・職業や業務内容
・家族の居住地
・海外転出届の有無
などから判断されます。
したがって、海外に移住したとしても、たとえば日本の会社の代表取締役を務めていたり、家族が日本に住んでいて生計が同じだったりすると、“生活の拠点は日本にある”とみなされる可能性が高いです。
そうなると、『非居住者性』を満たすことができないので、節税効果は薄くなってしまいます」
――海外移住して節税したつもりでも、結局「日本で税金払ってください」ってことになるとプランが狂ってきちゃいますね……これは要注意ですね。
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