かつては中国人に大人気だったが…揺らぐ「中国市場」の海外ブランドシェア。欧米諸国はじめ韓国も難航する、その原因

かつては中国人に大人気だったが…揺らぐ「中国市場」の海外ブランドシェア。欧米諸国はじめ韓国も難航する、その原因
(※写真はイメージです/PIXTA)

中国ではかつて、「外資系ブランド」というだけで消費者に安易に受け入れられる時代がありました。しかし近年、欧米ブランドをはじめとし、韓国製品などの存在感は薄らいでいます。本記事では、株式会社伊藤忠総研・主任研究員の趙瑋琳氏の著書『2030年中国ビジネスの未来地図』より、中国国内における外資系ブランドの衰退について解説します。

欧米系ファストファッションブランドの難航

近年、米中対立をはじめとする地政学的リスクや新型コロナウイルスの感染拡大によって顕在化したサプライチェーンの脆弱性への懸念、中国市場での業績不振によって、外資企業の中国撤退ニュースが目立っています。中でも、特に小売関連では業績不振による事業縮小あるいは撤退が多く見られます。

 

例えば、米国の化粧品ブランド「メイベリンニューヨーク」が2022年7月に中国全土の約1万店舗を閉鎖し、オンライン販売のみに切り替えると発表しました。

 

メイベリンは、中国女性の化粧に対する意識がまだ低く、化粧品もあまり普及していなかった90年代後半に中国に進出したブランドで、筆者を含めた70年代や80年代生まれの女性にとっては憧れの存在でした。先発優位でメイベリンはしばらく市場シェアトップに座り続けていましたが、Z世代への対応の遅れや「花西子」のような新興勢の挑戦に耐えられず敗走したのです。

 

また、ここ2、3年、スペインの「ZARA」やスウェーデンの「H&M」などのブランドの閉店あるいは撤退が相次ぎ、欧米系ファストファッションブランドの中国ビジネスが難航しています。2022年秋には米国のファストファッションブランド「GAP」が中国各地の店舗を閉鎖し、中国事業を売却することになりました。

 

「外資系ブランド」というだけでは売れなくなった

新型コロナウイルスの感染拡大が小売業界に打撃を与え、新疆綿問題に由来したボイコットによる影響も否めませんが、それより近年の中国市場と中国人消費者の変化への対応が遅れたことが業績不振の主な原因になったと考えられます。消費者の好みに合わせて素早く新製品を投入できず、またオンライン販売の出遅れで苦戦を強いられたのです。

 

なお、これらの事例は、外資系ブランドというだけで消費者に安易に受け入れられる時代が終わったということを改めて示しています。

 

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2030年中国ビジネスの未来地図

2030年中国ビジネスの未来地図

趙 瑋琳

東洋経済新報社

気鋭の研究者が中国の「新消費」・「新ブランド」・「新市場」を徹底解説! 日本人がまだ知らない一歩先の中国ビジネスとは? 「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌した中国ですが、「常に変化し、唯一、変化していない…

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