「低所得層向けサイト」と揶揄された中国のEC新興企業…設立7年でユーザー数8.8億人、「アリババ超え」のワケ【伊藤忠総研・主任研究員が解説】

「低所得層向けサイト」と揶揄された中国のEC新興企業…設立7年でユーザー数8.8億人、「アリババ超え」のワケ【伊藤忠総研・主任研究員が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

これまでの中国市場の中心は、上海をはじめとする沿岸部や大都市でした。しかしいまでは、比較的低所得層が集う「下沈市場」と呼ばれる地方都市に遷移しています。下沈市場攻略に成功した企業のなかに、SNS型ECプラットフォームを提供する「拼多多 Pinduoduo」がありますが、一体どのようにして新市場を攻略していったのでしょう。本記事では、株式会社伊藤忠総研・主任研究員の趙瑋琳氏の著書『2030年中国ビジネスの未来地図』より、「拼多多 Pinduoduo」のビジネスモデルをもとに、下沈市場攻略のロジックを解説していきます。

国外メーカー軽視の「農村市場攻略」により成功した企業

米中対立で通信機器メーカー大手ファーウェイの先端技術や研究開発能力ばかりが注目されていますが、同社が今の地位を築いたのには巧みな戦略がありました。それが、国外メーカーが軽視した農村市場を攻略してから、都市部の顧客開拓へ、発展途上国から先進国市場へという市場戦略です。

 

これはかつて中国共産党が「農村包囲都市(農村から都市を包囲する)」戦略で革命に勝利したことを彷彿とさせます。今はファーウェイだけでなく、この戦略をビジネスに展開する企業は増えています。

 

とりわけ「下沈市場」開拓に注力している企業は、「農村包囲都市」戦略を積極的に実践しています。

 

※中国の3級都市以下の都市及び農村のこと。9億を超える人口規模、購買力の向上、デジタルの力による加速度的成長の3点から、中国の次なる巨大マーケットとして注目を浴びている。

 

その中に、SNS型ECで成功したPDD(拼多多 Pinduoduo)のほか、ショート動画配信大手の快手、茶飲料ブランドの「蜜雪氷城(ミシュエビンチェン/Mixue Bing Cheng)」など成功例が多くあります。

 

「下沈市場」の勝者

「下沈市場」の勝者と呼ばれ、農村ECの代表格である「匯通達(フィトンダ/Huitongda)」もその一例です。2010年に設立された同社は南京に本社を構え、「農民たちにより良い生活」を企業ミッションに掲げています。

 

消費者向けではなく、ビジネス向けのプラットフォーマーとして、「下沈市場」のパパママ・ストア(零細小売店)や小型スーパー向けの商品・サービス提供を中心に成長しているのです。2021年9月末時点で中国21の省の農村地域において、16万超の会員店と、3億人の消費者ユーザーを擁し、2022年2月に香港上場を果たしました。

 

これらの成功例は、「下沈市場」に大きなビジネスチャンスが潜んでいることを証明しています。ではこれらの企業が「下沈市場」で成功できた大きな要因はなんなのでしょうか。前述したPDDや快手、蜜雪氷城の事例を中心に「下沈市場」進出の成功のヒントを解き明かします。

 

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2030年中国ビジネスの未来地図

2030年中国ビジネスの未来地図

趙 瑋琳

東洋経済新報社

気鋭の研究者が中国の「新消費」・「新ブランド」・「新市場」を徹底解説! 日本人がまだ知らない一歩先の中国ビジネスとは? 「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌した中国ですが、「常に変化し、唯一、変化していない…

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