国外メーカー軽視の「農村市場攻略」により成功した企業
米中対立で通信機器メーカー大手ファーウェイの先端技術や研究開発能力ばかりが注目されていますが、同社が今の地位を築いたのには巧みな戦略がありました。それが、国外メーカーが軽視した農村市場を攻略してから、都市部の顧客開拓へ、発展途上国から先進国市場へという市場戦略です。
これはかつて中国共産党が「農村包囲都市(農村から都市を包囲する)」戦略で革命に勝利したことを彷彿とさせます。今はファーウェイだけでなく、この戦略をビジネスに展開する企業は増えています。
とりわけ「下沈市場※」開拓に注力している企業は、「農村包囲都市」戦略を積極的に実践しています。
その中に、SNS型ECで成功したPDD(拼多多 Pinduoduo)のほか、ショート動画配信大手の快手、茶飲料ブランドの「蜜雪氷城(ミシュエビンチェン/Mixue Bing Cheng)」など成功例が多くあります。
「下沈市場」の勝者
「下沈市場」の勝者と呼ばれ、農村ECの代表格である「匯通達(フィトンダ/Huitongda)」もその一例です。2010年に設立された同社は南京に本社を構え、「農民たちにより良い生活」を企業ミッションに掲げています。
消費者向けではなく、ビジネス向けのプラットフォーマーとして、「下沈市場」のパパママ・ストア(零細小売店)や小型スーパー向けの商品・サービス提供を中心に成長しているのです。2021年9月末時点で中国21の省の農村地域において、16万超の会員店と、3億人の消費者ユーザーを擁し、2022年2月に香港上場を果たしました。
これらの成功例は、「下沈市場」に大きなビジネスチャンスが潜んでいることを証明しています。ではこれらの企業が「下沈市場」で成功できた大きな要因はなんなのでしょうか。前述したPDDや快手、蜜雪氷城の事例を中心に「下沈市場」進出の成功のヒントを解き明かします。
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