保有期間中+売却時のキャッシュフロー最大化を狙う
不動産投資におけるキャッシュフローの重要性は理解いただけたと思いますが、実はその考えだけではまだ不十分です。大切な視点は、税引後のキャッシュフローを最大化させることです。ただ物件を買い進めていくだけでは税金の負担が大きくなるだけで、なかなかキャッシュが蓄積しません。
手元に残るお金=税引後キャッシュフロー
当たり前のことですが、この大前提を忘れないでいただきたいのです。税引後キャッシュフローを最大化させるために重要となるのが、タックスマネジメントです。税の仕組みを認識した上で、減価償却を活用し、税引後キャッシュフローを最大化するのです。
ここまでは保有期間中についての説明ですが、同時に、売却時のキャッシュフローの視点も欠かせません。投資家の方は保有期間中のキャッシュフローのみで投資判断をする傾向がありますが、売却までを見据えて物件を購入する必要があります。物件の売却で大きくマイナスになってしまえば保有期間中に蓄積してきたキャッシュがすべてなくなってしまう場合もあるからです。
繰り返すように、不動産投資は賃貸経営と同義です。売上規模だけでなく、最終的な手残りの最大化を考えた物件の取得と管理運営をしなければなりません。
不動産投資の最終利益
=保有期間中の累積税引後キャッシュフロー+売却時の税引後キャッシュフロー
この2つを最大化するためにはどうすればいいかを考えて物件を選定することで、投資を成功させる可能性が高くなります。
[PR]4月18日(土)無料セミナー開催@幻冬舎
【本記事著者の藤原氏が教える『2020年税金対策の最新版』】
「節税×キャッシュフロー最大化」を実現する築古1棟アパート投資戦略
意識しておきたい「潜在キャッシュフロー」の存在
保有期間中の税引後キャッシュフローを正確に理解するためには、「表に出ていないキャッシュフロー」も考慮に入れなければなりません。
一般に不動産投資は融資を受けて行いますが、借入金の返済の内訳は元金返済と支払利息に分けられます。100万円を返済しているとした場合、そのうち元金返済が20万円、支払利息が80万円といった具合です。
この借入金の返済のうち、元金を返しているということは、借入金の総額が減ることを意味しています。これは視点を変えると、借入返済のうち、元金分は貯金しているのと同義となります。会計でいうところの貸借対照表(バランスシート)上、負債である長期借入金が毎月減ることで、自己資本比率が相対的に増えるという見方ができます。
簡単なモデルを示して説明しましょう。ここでいう不動産価格は市場で売却できる価格です。帳簿上の建物は減価償却により金額が下がります。
(物件購入時)
不動産価格1億円 長期借入金1億円
※この状態で売却すると、手元に残る資金はゼロ円。
その後、毎年返済を続け、10年で2000万円分の元金を返済しました。そのときの保有不動産市場価格は10年前と変わりませんでした。
(10年後)
不動産価格1億円 長期借入金8000万円
※この状態で売却すると、手元に残る資金は2000万円。
実際には譲渡益に対して税金がかかるためこのようにはなりませんが、理解しやすいよう単純なモデルにしました。長期借入金の元金返済分2000万円が、そのまま手元に残る現金として表面化したのがわかります。
この潜在キャッシュフローは、物件を売却してはじめて顕在化します。物件を売るというのは、不動産投資の利益を確定することを意味します。不動産の市場価値が下落しないと想定した場合(たとえば土地値物件)、売却資金1億円で借入金の残額8000万円を支払ったあと、2000万円の利益が確定するわけです。
したがって、保有期間中の本当の利益は次のようになります。
保有期間中の利益=保有期間中の税引後キャッシュフロー(①)+元金返済分(②)
もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、売却までを考慮したキャッシュフローを最大化にする際のポイントは、不動産の市場価値の動向です。端的にいえば、そのときいくらで売却できるのかということです。物件を購入する際は、土地値に近い物件、土地値の割合が高い物件、あるいは立地が良く不動産市場価格の下落スピードが遅い物件を購入しなければ最終的には利益が出ないということです。
一般に不動産価格は経年とともに下落していきます。不動産価格の下落スピードが前述の①と②の総和より速ければ、保有期間中にキャッシュフローが出たとしても、売却時にその利益がすべて吹き飛んでしまいます。よって不動産価格の下落スピードを①と②の総和よりいかに下げさせるかが、売却時に利益を出す際のポイントとなるのです。
[PR]4月18日(土)無料セミナー開催@幻冬舎
【本記事著者の藤原氏が教える『2020年税金対策の最新版』】
「節税×キャッシュフロー最大化」を実現する築古1棟アパート投資戦略