借入の返済期間が違うと最終損益はどう変わるのか?
潜在キャッシュフローについて、別の角度でもう1つ具体例を出してみます。借入の返済期間の違いで、保有期間中の税引後キャッシュフローおよび売却後の最終損益に違いが出るのが理解できるはずです。
■共通条件
(物件について)
平成5年築 重量鉄骨造
物件価格:1億円(土地:5000万円、建物:5000万円)
家賃収入:1000万円(表面利回り10 %)
運営費:250万円(空室率考慮済)
純営業収益:750万円
(諸条件について)
借入金額:9000万円
自己資金:1000万円
購入諸費用:700万円
借入金利:2.0%
返済方法:元利均等
保有期間:10年間
売却金額:8000万円(表面利回り12.5%)
所有者適用税率:50%(所得税・住民税)
この共通条件をベースに、返済期間を20年と30年の2パターンで、収支シミュレーションしていきます。途中の計算は割愛しますが、それぞれの保有期間中の税引後キャッシュフローは次の通りとなります。
(20年返済の場合)
1年目 税引後キャッシュフロー=56.9万円 累積キャッシュフロー56.9万円
2年目 税引後キャッシュフロー=53.2万円 累積キャッシュフロー110.1万円
3年目 税引後キャッシュフロー=49.4万円 累積キャッシュフロー159.5万円
…
10年目 税引後キャッシュフロー=20.5万円 累積キャッシュフロー392.5万円
(30年返済の場合)
1年目 税引後キャッシュフロー=204.8万円 累積キャッシュフロー204.8万円
2年目 税引後キャッシュフロー=202.6万円 累積キャッシュフロー407.4万円
3年目 税引後キャッシュフロー=200.3万円 累積キャッシュフロー607.7万円
…
10年目 税引後キャッシュフロー=183.0万円 累積キャッシュフロー1942.2万円
このように、30年返済のほうがキャッシュフローを圧倒的に生み出すことがわかります。では、本物件を売却した際の税引後売却キャッシュフローを比較してみましょう。
(20年返済の場合)
税引後売却キャッシュフロー:2667万円
(30年返済の場合)
税引後売却キャッシュフロー:1040万円
このように、20年返済の条件のほうが、税引後の手残りが多いことがわかります。これは毎月元金返済が進むことにより、売却金額のうち金融機関に返済する金額が少なくなるからです。
[PR]4月18日(土)無料セミナー開催@幻冬舎
【本記事著者の藤原氏が教える『2020年税金対策の最新版』】
「節税×キャッシュフロー最大化」を実現する築古1棟アパート投資戦略
最終的に受け取る金額にはほとんど差がない!?
不動産投資の最終的な成果(保有期間中の累積税引後キャッシュフロー+売却時の税引後キャッシュフロー)は次の通りです。
(20年返済の場合)
最終利益=3060万円
(30年返済の場合)
最終利益=2982万円
30年の場合、利息を多く払うため金額は少なくなりますが、結果としては、どちらもさほど大きな差はないことになります。
これらのシミュレーションからわかることは、返済期間が短いことで保有期間中のキャッシュフローが少なくても、もう一つの利益である潜在キャッシュフローである元金返済は進むため、最終的に受け取る金額には大きな差がないということです。
ただし、最終的に受け取る金額が同じとはいえ、投資効率を考えると「返済期間は長く」があくまでも基本です。貨幣の現在価値の観点から、現在受け取る100万円と10年後に受け取る100万円では、前者のほうが価値があるからです。
[PR]4月18日(土)無料セミナー開催@幻冬舎
【本記事著者の藤原氏が教える『2020年税金対策の最新版』】
「節税×キャッシュフロー最大化」を実現する築古1棟アパート投資戦略