前回は、借入を利用して「レバレッジ効果」を得るメリットについて解説しました。今回は、いわゆる「融資に強い」不動産業者の選び方について見ていきます。

パイプがある不動産会社経由の融資案件のほうが・・・

以前、訪問した金融機関の担当者から、個人投資家に対して思うところがあると打ち明けられたことがあります。個人からの融資持ち込み案件が増えているものの、筋が通っていないことが多いそうなのです。

 

たとえば、次のような感じです。

 

●個人投資家Aさん「買付1番手で確実に買えるんですが、決済まで時間がない。明後日までに本承認をなんとか通してもらえませんか」

●融資担当者「かしこまりました。支店稟議にかけると同時に、本部にも回して同時に進めていきます」

(2日後)

●融資担当者「支店稟議は下りて、あとは本部の本承認を待つだけです。やりました!」

●Aさん「すいません。あの話、流れたんです。買付2番手の人が現金で買うと言い出してね。また頼みますわ」

 

多少オーバーに描いていますが、このような話がとても多いとのことです。金融機関の担当者は、評価算出や事前審査などは業務上やってはくれますが、そこにはマナーが求められるのはもちろん、筋が通らない言動は信用を失います。その上、このケースは、本部まで動かしてしまっていますので、次回お願いしても同じ対応をしてくれるかどうか疑問が残ります。

 

一方、私たち不動産業者は金融機関とのつながりが生命線ということもあり、融資担当者との付き合いには慎重を期しています。そのため各金融機関では飛び込みで持ち込まれる融資案件より、ルートのある不動産業者からの案件のほうが取り組みやすく、また稟議も下ろしやすいのです。

 

仮に審査で何かネックになることがあっても、担当者ベースであればその理由を教えてもらうこともできるため、不動産業者側も提案の絵が描きやすくなります。

 

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まずは金融機関との「取引実績」を確認する

では、不動産業者のなかでも融資に強い会社はどうやって選べばいいのでしょうか。一番有効な方法は、金融機関との取引実績を確認することです。収益物件の融資は特殊で、この分野に詳しい不動産業者でなければ物件購入時の融資の取引実績はそう多くありません。

 

たとえば不動産会社のホームページを見て取引銀行を確認するのも一つの手ですし、不動産会社の営業担当者との会話の中で取引のある金融機関の数を聞いてみるのもいいでしょう。

 

当社でも融資には力を入れており、私が物件を購入する際に取り引きした金融機関はもちろん、お客様を紹介するなかで取引実績を積み上げてきた金融機関、あえて会社の運転資金の借入を行うことで取引口座を開設した金融機関もあります。そうやって多くの金融機関とのつながりを持つことで、紹介しやすい体制をつくっているのです。

 

金融機関の融資担当者と投資家、不動産会社は利害が一致しています。金融機関はお金を貸して金利を得る商売ですので、基本的には融資を受けてもらいたいのです。よって、借り手には融資担当者との信頼関係を築き、稟議を通しやすくする提案が求められます。

 

金融機関とルートのある業者を通じて融資を持ち込み、金融機関側の事情をくみ取った提案ができれば、融資承認が下りる可能性が高まるでしょう。

 

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本連載は、2014年11月4日刊行の書籍『はじめての不動産投資 成功の法則』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

はじめての不動産投資成功の法則

はじめての不動産投資成功の法則

藤原 正明

幻冬舎メディアコンサルティング

東京五輪による地価上昇の影響もあり、注目を集めている不動産投資。 しかし、実際に投資をはじめようとしてもはじめての人には分からないことだらけでなかなか手が出ない、ローリスクと聞いて始めてみたけれど、成功というに…

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