(画像はイメージです/PIXTA)

株式は、価格変動しながらの上昇が期待できる代表的な金融商品です。株式投資の基本は、企業の成長・発展に伴う利益を享受する長期保有だといえます。今回は、株式投資について見ていきましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

株式会社が資金集めのために発行する有価証券=「株式」

株式とは、株式会社が資金を集めるために発行する有価証券です。投資家は株式へ投資することで、利益をもとに分配される配当金や売却したときの利益を得ることができます。配当金が、インカムゲイン)、売却益がキャピタルゲインです。

 

◆株価の変動

証券取引所で自由に売買できる株式を上場株式、証券取引所で売買できない株式を非上場株式といいます。上場株式の価格は、発行会社の業績、景気動向、需給関係などの様々な要因が複雑にからみあって変動します。なかでも大きな変動要因は、企業収益、金利、為替相場、景気です。

 

たとえば、円高が進めば、輸入中心の企業の株価が上がります。逆に、円安が進めば、輸出中心の企業の株価が上がります。金利が低下すれば、ほとんどの企業の株価が上がるでしょう。景気が良くなれば、ほとんどの企業の株価が上がるはずです。

 

◆株主の権利

株主は自益権と共益権を持ちます。

 

自益権とは、利益配当や残余財産の分配を請求する権利です。配当金や残余財産は持株数に応じて受け取ることができます。

 

また、共益権とは、株主総会で議決権を行使する権利です。議決権も持株数に応じて行使することができます。

 

★株価ってどう変動する?どう注文すればいい?株式投資の基本はこちらをチェック

株式投資入門:取引発注から株価変動まで完全理解

株式取引の基本

初めて株式を購入するときは、証券会社に取引口座を開設します。その際、印鑑と運転免許証などの本人確認書類が必要です。

 

取引口座には、一般口座と特定口座があります。特定口座を開設すると、その口座内で行った取引に係る税金を、証券会社に源泉徴収してもらうことが可能です。

 

株式の売買を注文する場合、銘柄名、売り・買いの区別、株数、価格、指値注文または成行注文を指定します。

 

最低取引単位は、各会社が独自に定めた1単元の株式数です。これを単元株式といいます。

 

◆株式の売買注文

株式の売買注文には、指値注文と成行注文があります。

 

指値注文とは価格を指定して注文する方法です。買う場合には価格の上限を、売る場合には価格の下限を指定します。価格を指定して注文できますが、株価がその価格に到達しなかった場合には注文が成立しません。

 

一方、成行注文は価格を指定せずに注文する方法です。確実に注文が成立しますが、意図した価格とは異なる価格で成立してしまうことがあります。

 

[図表1]指値注文、成行注文のイメージ

 

証券取引所における株式の売買では、成行注文が指値注文に優先して成立します。

 

注文が成立することを約定といいます。そして、注文が成立した約定日から起算して3営業日目に決済・受渡しが行われます。営業日には、土曜、日曜、祝日は含まれません。

 

◆価格優先・時間優先の原則

取引所における売買価格は前日の終値からスタートし、価格優先の原則と時間優先の原則にしたがって、そのときの売買価格が決定されます。これを競争売買方式、オークション方式といいます。

 

価格優先の原則とは、売り注文の場合、より低い価格が優先され、買い注文の場合は、より高い価格が優先されるという原則です。

 

たとえば、売り注文の場合であれば、310円の注文よりも300円の注文の方が優先して取引が成立します。反対に、買い注文の場合であれば、290円の注文より300円の買い注文の方が優先して取引が成立します。

 

[図表2]価格優先の原則のイメージ

 

また、時間優先の原則とは、同じ価格では、注文した時間か早い方が優先されるという原則です。

 

[図表3]時間優先の原則のイメージ

 

◆値幅制限

株価の急激な変動は、投資家に不測の損害を及ぼすおそれがあります。そこで、証券取引所は1日の値幅を、前日の終値から一定範囲に制限しています。これを値幅制限といいます。

 

制限値幅いっぱいまで株価が上昇することを「ストップ高」、下落することを「ストップ安」といいます。

 

[図表4]値幅制限のイメージ

 

◆株式売買委託手数料

株式を売買する際には、証券会社に株式売買委託手数料を支払わなければなりません。手数料の金額は、証券会社によって独自に設定されています。

 

株式の購入時には、約定代金に手数料と消費税を加えた額を支払います。反対に、株式の売却時には、約定代金から手数料と消費税を際し引いた額を受取ります。

 

株式購入時の代金=(株価×株数)+(委託手数料十消費税)

株式売却時の代金=(株価×株数)-(委託手数料十消費税)

 

★上場株式などの財産評価についてはこちらをチェック

【財産評価】上場株式や投資信託を相続した!その他の財産評価をわかりやすく解説【FP3級】

 

◆現物取引と信用取引

株式の取引には、資金の出どころによって、現物取引と信用取引に大別されます。

 

現物取引とは、投資家が自分の資金を使って株式を売買することです。これに対して、信用取引とは、投資家が保証金を差し入れたうえで、証券会社から買付ける代金や売付ける株式を借りることによって、株式を売買することです。

 

借りた資金で株式を購入することを「買建て」といいます。買建てた場合、株価が値上がりすれば利益が得られます。

 

[図表5]買建てのイメージ

 

これに対して、借りた株式を売却することを「売建て」または「空売り」といいます。売建てた場合、株価が値下がりすれば利益が得られます。

 

[図表6]売建てのイメージ

 

信用取引では自己資金の何倍もの取引を行うことができるようになりますが、このような取引のことをレバレッジ取引といいます。

 

[図表7]現物取引と信用取引(レバレッジ取引)の違い

 

◆普通株式と種類株式

株式の種類は、その権利の内容によって、普通株式と種類株式に大別されます。種類株式には優先株式や優先出資証券があります。優先株式とは、普通株式より優先的に利益配当や残余財産分配を受けることができる株式です。その代わり、議決権が制限されています。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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