投資初心者「投資信託、買ってみたいが…」絶対知っておくべき、投資信託のしくみ・買い方・手数料・開示資料・換金法の話【FPが解説】

投資初心者「投資信託、買ってみたいが…」絶対知っておくべき、投資信託のしくみ・買い方・手数料・開示資料・換金法の話【FPが解説】
(画像はイメージです/PIXTA)

資産形成のため、長期分散投資が可能となる「投資信託」の購入を検討している人も多いと思います。ここでは投資初心者に向け、投資信託のしくみをはじめ、手数料、開示資料、換金方法、投資信託の種類といった、必ず知っておきたい基本の知識を学びましょう。自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。

そもそも「投資信託」ってどんなもの?

投資信託とは、たくさんの投資家から集めた資金を、資産運用の専門家である投資信託委託会社が、複数の資産に分散して投資し、その収益を投資家に分配する金融商品をいいます。投資家にとって投資信託は、少額の資金で分散投資ができるというメリットがあります。

 

投資信託には「受益者」「販売会社」「委託会社」「受託会社」が登場します。お金を投資して利益を受ける投資家のことを受益者といいます。投資家が購入するものは、投資信託から利益を受け取る権利が細分化されたもの、すなわち受益権となります。

 

投資信託は、銀行や証券会社によって販売され、投資信託委託会社によって運用指図されています。彼らが販売会社と委託者です。その一方で、運用される資産は信託銀行によって売買され、管理されています。信託銀行を受託者といいます。

 

どのようなお金の流れになるかというと、まず、投資家のお金が、証券会社や銀行の窓口を経由して、投資信託委託会社に集められます。そのお金は、信託銀行の口座に預けられ、運用されます。その際、信託銀行は、投資信託として預かっている資産は、ほかの資産と分けて管理されます。これを「分別管理」といいます。投資家のお金は、販売会社、信託銀行、委託会社が倒産した場合でも、守られるのです。

 

[図表]投資信託でのお金の流れ

 

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投資信託のコストには、どんなものがある?

投資信託のコストには、購入時の「販売手数料」のほか、保有期間中の「信託報酬」「監査報酬」「信託財産留保額」の4種類があります。

 

販売手数料とは、投資信託の購入時に取られる手数料です。これは販売会社によって異なり、対面販売の証券会社では2~3%の手数料が取られます。一方で、インターネット証券では、手数料無料のノーロード投資信託が多くあります。公社債投資信託は販売手数料がかかりません。

 

信託報酬とは、投資信託の保有期間中、運用や管理の対価として取られる費用です。

 

信託財産留保額とは、投資信託を中途解約するときにかかる費用で、解約代金を支払うために投資信託が負担する費用を、解約する投資家に負担させようとするものです。

 

基準価額とは、投資信託の価値を示すもので、売買する際の基準となる金額のことです。投資信託を設定するときは、1口を1円と設定しており、基準価額は1万口当たりの価値として開示されます。これは、投資信託の純資産を受益権口数で割って求めることができます。

投資信託を換金する方法は?

投資信託の換金の方法には「買取請求」「解約請求」という2つの方法があります。

 

買取請求とは、投資信託の受益権を販売会社に時価で買い取ってもらう方法です。投資信託はそのまま存在し、資産の減少も起こりません。受益権を買い取った販売会社は、それをほかの投資家に転売するか、投資信託委託会社に解約を請求することになります。

 

解約請求とは、投資信託委託会社に対して直接投資信託契約の解約を請求するものです。資産は払い戻され、その分減少することになります。

投資信託説明書(目論見書)、運用報告書

投資家が投資信託を購入しようとする場合、投資信託の内容の理解が必要ですが、投資信託委託会社が作成した「目論見書」が、販売会社から交付されます。目論見書には、投資対象や運用方針、投資に伴うリスク、販売手数料や信託報酬などのコストに関する事項、信託約款の内容など重要な情報が記載されています。

 

そして、投資家が投資信託の現時点での状況を知るために「運用報告書」が交付されます。運用報告書は決算期ごとに開示され、運用実績と今後の運用方針、費用の明細、組み入れられている有価証券の明細、資産、負債、元本および基準価額の状況が記載されています。

利益還元を受けるための「分配金」、2種類

また、投資家は、利益還元を受けるために「分配金」を受け取ることができます。

 

分配金を受け取る方法には2種類あります。「そのまま現金で受け取る」方法と、「分配金を使って同じ投資信託へ再投資する」方法です。

 

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投資信託の種類

◆株式投資信託および公社債投資信託

投資対象によって、投資信託は「株式投資信託」「公社債投資信託」に分けることができます。

 

株式投資信託とは、株式を組み入れて運用することが可能な投資信託のことをいいます。約款で組み入れ可能と規定されていれば、実際に組み入れていなくても構いません。

 

一方、公社債投資信託とは、国債などの公社債を中心に運用され、株式をいっさい組み入れることができない投資信託です。MRF、すなわちマネー・リザーブ・ファンドは代表的な公社債投資信託で、購入単位1円以上1円単位で、いつでも追加購入でき、毎日決算、月末に再投資されるものです。信託期間は無期限で、いつでも手数料なしで解約できます。これは、証券総合口座用の商品として開発されたもので、株式や債券の売買代金の入出金のために使われています。

 

◆単位型投資信託および追加型投資信託

購入後に追加購入できるかどうかによって、投資信託は「単位型投資信託」「追加型投資信託」とに分けることができます。

 

単位型投資信託とは、ユニット型と呼ばれ、一定の募集期間のみ購入でき、その後の追加購入ができないものです。また、運用期間中に解約または換金できないクローズド期間が設定されているものもあります。

 

これに対して、追加型投資信託とは、オープン型と呼ばれ、いつでも追加購入または解約できるものです。

 

◆会社型投資信託および契約型投資信託

設立形態によって、投資信託は「契約型投資信託」「会社型投資信託」とに分けることができます。

 

契約型投資信託は、販売会社が投資家から集めた資金が、投資信託委託会社と信託銀行が結んだ契約に基づいて保管・運用され、この受益権を投資家が取得するものです。

 

これに対して、会社型投資信託は、有価証券や不動産への投資を目的とする投資法人を設立し、投資家はその会社の出資者となるものです。解約できないことから、不動産投資信託など多くの投資法人は、証券取引所に上場され、時価で売買されています。

 

 

岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士

 

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