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中小企業経営者に聞いた「IT人材の賃金」に関するアンケート
全研本社が実施した日本の中小企業の経営者を対象としたアンケート調査によると、IT（情報通信）人材の賃金が能力に対して「見合っている」「だいたい見合っている」とした経営者は全体の半分の50％だった。
「見合っていない（安すぎる）」「あまり見合っていない（安すぎる）」とした経営者も20％を超えており、経営者がIT人材の能力に一定の満足感を抱いていることが明らかになった。一方でIT人材も「賃金が安すぎる」と不満を抱えている可能性があり、待遇改善を求める声がさらに強まることが考えられる。
IT人材の賃金「だいたい見合っている」が35％で最多
調査は全研本社が中小企業の経営者を対象に2月24～26日に実施し、200件の回答を得た。回答した企業の業種は建設業、製造、卸売・小売、不動産、サービス、情報通信、金融・保険、宿泊など。
全研本社が「IT人材の賃金は能力に見合っているか」と質問したところ、最も多かったのは「だいたい見合っている」との回答で、35％に達した。「見合っている」との回答は15％で「だいたい見合っている」「見合っている」を合わせると5割に達した。IT人材の賃金が能力に「あまり見合っていない（安すぎる）」と答えた人は12％、「見合っていない（安すぎる）」は8.5％と合計で2割程度に達した。
IT人材の賃金「高すぎる」も3割、人手不足などが背景か
一方で「IT人材の賃金が能力に比べて高すぎる」との指摘も目立った。「あまり見合っていない（高すぎる）」との回答は16％あった。「見合っていない（高すぎる）」は13.5％で、「あまり見合っていない」と合わせると約3割にのぼった。これは「見合っていない（安すぎる）」「あまり見合っていない（安すぎる）」の合計2割に比べても高い数字だ。
IT人材の不足で需給バランスが崩れていることに加え、2023年の春季労使交渉（春闘）で記録的な賃上げになったこともあり、経営者の一部は既存のIT人材の能力や賃金の水準に不満を抱えているとみられる。
賃金に見合っているかどうかは「IT人材の能力次第」？
IT人材の賃金が能力に「見合っている」「だいたい見合っている」と答えた経営者に対して理由を複数回答で聞いたところ、「賃金が仕事の難易度に見合っていると思うから」との回答が31％で最多だった。次に多かったのは「賃金が仕事量に見合っていると思うから」で30％だった。相当数の経営者にIT関連業務については仕事の難易度が高く、仕事量も多いとの認識があるとみられる。
「IT人材の能力の高さに満足しているから」が24％、「キャリアや資格を踏まえた賃金だから」は22％と、IT人材の能力を評価する声も目立った。「年齢・社歴に応じた賃金を設定しているから」は13％にとどまった。IT人材については年功序列ではなく、能力に応じた賃金を支払おうと努力している企業経営者の姿が浮かび上がる。
一方でIT人材の需給ひっ迫により賃金が過度に高騰しているとの見方もある。賃金が能力に「見合っていない（高すぎる）」「あまり見合っていない（高すぎる）」と答えた経営者に対して、その理由を聞いたところ、「IT人材の能力が期待を下回っているから」との回答が30.5％に達した。
「IT人材の採用が難しいため賃金を高く設定しているから」との回答は23.7％、「前職の水準に合わせて採用したから」は22％に達した。「IT人材の退職を防ぐために能力以上の賃金を設定しているから」が15.3％だった。
中小企業の経営者の一部は自社のIT人材の能力に満足しておらず、過度に高い賃金を支払っている不満があることが浮き彫りになっている。今後は日本だけでなく、インドなど海外からの有能な人材への需要がさらに増える可能性もある。
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