中東情勢の影響を免れる日本市場…インド人IT人材の視点から
国際通貨基金(IMF)は4月、世界経済の成長率について、中東紛争が早期収束した場合でも2026年は3.1%にとどまると予測しました。これは1月時点の予測から0.2ポイントの下方修正となります。IMFは、原油高が長期化すれば成長率はさらに低下する恐れがあると懸念を示しています。
地政学的リスクの高まりや物価高は、グローバルな人的交流にも影を落としています。特に、中東情勢の当事者となった米国を、インドをはじめとする有能な海外人材が敬遠する動きが顕著です。その一方で、日本への就職希望者に与える影響は比較的軽微にとどまっています。
米国の軍事介入と移民政策が「米国離れ」を加速
インドのIT人材が米国を回避する動きを裏付けるのが、Zenkenが2026年4月に実施した調査です。同社は4月10日から20日にかけて、インドの工科系大学の3~4年生1,348名を対象にアンケートを行いました。
調査の結果、インド人学生の44.5%が「中東地域などへの米国の軍事行動が、渡米就職の意欲に影響を与えた」と回答しました。米国は、世界的優良企業がひしめき、平均年収も高いため、インドのトップ層にとっては最も魅力的な就職先でした。しかし、昨今のトランプ政権による移民政策の厳格化や軍事行動が、優秀な学生たちの米国志向に冷や水を浴びせている状況が浮き彫りとなりました。
揺るがない「日本就職」への関心
一方で、こうした地政学的な動乱も、インド人学生の日本就職志向には大きな影響を与えていません。「地政学的リスクの高まりは、日本で働く決断に悪影響を与えるか」という問いに対し、82.9%が「いいえ」と回答しました。
その理由として最も多かったのが、「多少のリスクがあっても、日本で就労し技術を取得するなど、自身の成長を優先する」(78.5%・複数回答)というものです。次いで「日本文化に触れることを優先する」(51.7%)、「雇用への影響はないと考える」(48.4%)が続きました。また、「自国より日本のほうが安全」(33.1%)、「ビザ審査に影響はない」(30.9%)といったポジティブな見方も根強く、日本という国への信頼感がうかがえます。
DX人材不足の中小企業に広がる「採用の好機」
2025年版の中小企業白書によると、デジタル化に取り組む中小企業・小規模事業者の多くが「DX推進人材の不足」を最大の課題に挙げています。中小企業庁も、リソース不足によりDXが停滞するケースを指摘しており、人材獲得は喫緊の課題です。
IT人材不足に悩む日本企業にとって、インドをはじめとする海外人材の活用は非常に有力な選択肢です。日本への志向が依然として高い今、国内の中小企業にとっては、優秀なエンジニアを迎え入れる絶好のチャンスといえるでしょう。
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