深刻化する地方の人手不足と「地方志向」を強めるインドIT人材
日本の地方で働くことに抵抗感がないインドIT人材が増えている。日本では若年層が東京都などの都市部に流入し、地方の人材流出が深刻な課題となっているが、地方での就職を望むインドIT人材は少なくない。その背景には、豊かな自然環境や、高い技術力を持つ企業の存在があるという。
総務省のデータによると、2019年度から2024年度にかけて外国人人口増加率の上位となった自治体の多くを地方が占めている。インドIT人材の強い就業意欲は、人手不足や高齢化に悩む地方の課題解決に大きく貢献しそうだ。
地方を選ぶ理由は「自然が豊か」「技術力のある企業がある」
インドIT人材の地方就労に対する意識の高さを示したのが、海外IT人材の育成・紹介事業を手掛けるZenkenが2026年4月に実施した調査だ。同社は4月10日から20日にかけて、インドの工科系大学に通う3〜4年生を対象にアンケート調査を行い、1,348件の有効回答を得た。
「日本の都市部と地方のどちらで働きたいか」という質問に対し、「都市・地方にこだわらない」と答えた人が53.6%と過半数を占め最多となった。この割合は、前年2月の前回調査から5.9ポイント上昇している。「地方」との回答も9.2%(前回比1.4ポイント増)に上った。一方で「都市部」との回答は37.2%と高いものの、前回調査から7.2ポイント低下している。
地方での就職を希望する理由(複数回答)としては、「自然が豊かだから」が83.1%で最多だった。地方都市出身の学生の場合、故郷に近い環境を求める傾向も強い。次いで高かったのが「地方にも技術力のある日本企業があるから」で58.5%だった。
また、日本国内における物価上昇の影響も無視できない。「日本の地方に就職したい」と答えた学生のうち、「物価が安いから」を選択した人は44.9%に達した。このほか、「働く地域にこだわりがない」(22.9%)、「就職しやすそう」(12.7%)といった回答もみられた。
地方の外国人増加率上位は「東京以外」が占める
総務省の「地域における外国人との秩序ある共生社会の実現のための研究会」の資料によると、総人口に占める在留外国人の割合は、2000年の1%台から2025年には3%台へと上昇した。
同資料によれば、2019年度から2024年度にかけて在留外国人人口の増加率が高かった上位20市区町村に、東京都の自治体は含まれていない。第1位は茨城県北相馬郡利根町(増加率178%)、第2位は熊本県菊池郡大津町(同175%)、第3位は北海道苫小牧市(同126%)となっている。
一方、総務省の「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」によると、東京都で最も転入超過数が多かった年齢層は20〜24歳で5万7,263人、次いで25〜29歳が2万642人だった。若い世代が東京へ流入し、地方の人手不足に拍車をかけている状況が浮き彫りとなっている。
こうした中、地方生活に前向きなインドIT人材をはじめとする外国人材は、人手不足の解消にとどまらず、地方経済を活性化させる新たな起爆剤となりそうだ。
