(※写真はイメージです/PIXTA)

タワーマンション上層階からの眺望は格別と聞きますが、大地震時の揺れ具合も格別なようで「大型テレビが宙を舞い、ウォーターサーバーが暴れ、冷蔵庫からワインや食材が飛び出した」という信じがたい体験談も。タワーマンションの住民が被る地震の被害は建物そのものの「構造」によっても違うようです。タワーマンションで採用されている構造の種類と、それぞれのメリット・デメリットについて検証します。

地震大国・日本…「タワマンの安全性」は保てるか?

最近、日本各地で大きめの地震が頻発しています。今後30年以内に70%の確率で「首都直下地震(M7クラス)」や、「南海トラフ地震(M8~9クラス)」などの発生が予想されていることも相まり、不安は募るばかりです。

 

地底に未曽有の活断層を抱えた地震大国・日本の宿命といってしまえばそれまでかもしれませんが、かけがえのない財産であるマイホームへの被害は何とか避けたいものです。

 

地震の影響を受けやすい建物として筆頭に思い浮かぶのは、やはりタワーマンション(タワマン)ではないでしょうか。タワマン・ライフは最先端の住宅設備によって支えられており、その背景には電力・ガスなどのライフラインが不可欠です。もしこれらの機能が大地震によって断絶・停止してしまったら、優雅で快適な暮らしは一瞬にして“地獄”と化してしまうでしょう。

 

多くの人々が憧れる天空の邸宅が“巨大なハリボテ”とならないよう、分譲主であるマンションディベロッパーも地震に強く安心・安全なタワマン建造に躍起となっています。

タワーマンションを支える「3種類の建築構造」

タワマンをはじめとする高層建物が備えるべき地震への耐力、すなわち「耐震性」を高めるための代表的な建築構造には、以下の3つがあります。

 

【耐震構造】

壁・柱・梁を頑丈にし、そこに補強材を加えることで建物自体を固くする構造です。地震の揺れをそのまま受け止めて対抗するようなしくみになっています。

 

【制振構造】

柱・壁・梁などに振動軽減装置(ダンパー)を設置し、建物全体に柔軟性を持たせる構造です。地震の揺れを吸収して振動や衝撃をやわらげるしくみになっています。

 

【免震構造】

建物と基礎部分との間に免震装置を設置し、建物が地面から浮いた状態にする工法です。地震の揺れを免震装置で受け止め、上部の建物に揺れが伝わるのを防ぐしくみになっています。

 

◆「耐震構造」の揺れ方の特徴

建物自体がガッチリ固く造られているので、地震の揺れをまともに受け止めてしまいます。例えれば、こんにゃくを縦に持って揺らすイメージです。手元の部分は揺れませんが、上部は円弧を描きながら大きく揺れます。要するに下階より上層階の揺れの方が大きくなるということです。そのため、上層階では家具等の転倒や躯体損傷の可能性が高くなります。

 

◆「制震構造」の揺れ方の特徴

基本的には耐震構造と同じく下階より上層階の方が大きく揺れますが、耐震構造より揺れの度合いは制御されます。加えて、柱・壁・梁などに設置されたダンパーが揺れを柔軟に吸収するので、躯体損傷が軽減されます。ただし、上層階での家具等転倒の可能性はあります。

 

◆「免震構造」の揺れ方の特徴

耐震構造や制震構造の揺れ方とはまったく異なり、建物全体が直立したままゆっくり揺れます。建物の地下に設置された免震装置が横方向へスライドしながら地震の揺れを吸収するので、建物外部から見ると大きく揺れているものの、建物内ではそれほどの揺れを感じません。そのため、家具の転倒や躯体損傷の可能性も低くなります。

 

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