(※写真はイメージです/PIXTA)

タワーマンション上層階からの眺望は格別と聞きますが、大地震時の揺れ具合も格別なようで「大型テレビが宙を舞い、ウォーターサーバーが暴れ、冷蔵庫からワインや食材が飛び出した」という信じがたい体験談も。タワーマンションの住民が被る地震の被害は建物そのものの「構造」によっても違うようです。タワーマンションで採用されている構造の種類と、それぞれのメリット・デメリットについて検証します。

すべて免震構造にすればいいのに…」

3つの構造の特徴を比べてみると、もっとも地震の影響を受けないのは「免震構造」であることがわかります。「ならば、これから新築するタワマンはすべて免震構造にすればよいではないか」と誰もが思うでしょう。しかしそう簡単にはいかないのです。

 

免震構造を採用した場合、建物を“浮かせる”という特殊な構造上、建設費用が高くなることに加え、定期的なメンテナンスも必要になるので、年々の維持・管理費が割高になってしまいます。これらの費用は売買価格や毎月の管理・修繕積立金に上乗せされることになります。

 

一方、耐震構造はベーシックな設計・建築技術で建てられるので建設費用が抑えられます。制震構造についても建設費用全体に占める制震部材費用の割合がそれほど高くないため、耐震同等の低コストで建てられるといえます。しかし、耐震・制震とも、大地震発生時に躯体が損傷した場合は莫大な修復費用がかかってしまうリスクがあります。

 

現在は低コストで建てられる耐震構造が大半を占めていますが、築浅物件を中心に制震・免震構造を採用するタワマンも徐々に増えています。この傾向は、1995年に発生した阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震といった災害にかかわるニュースやトピックスの周知をきっかけに高まっているようです。

まとめ

首都直下地震や南海トラフ地震などの震災危機が迫り来る昨今、タワマン住民が知るべきは我が家の建物構造です。

 

タワマンをはじめとする高層建物は主に耐震・制震・免震のいずれかの構造で建てられており、揺れ方の特徴、建築コストなどに大きな違いがあります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、今後の防災対策を練っていくことが必要です。

 

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