2024年4月に施行される「医師の働き方改革」を前に、「医師事務作業補助者」が、注目を集めています。さまざまな職種が「多職種協働」を行う医療機関において、柔軟に動ける存在が必要とされているのです。現代の人手不足の医療業界において、限られた人的リソースを使い、効率的なチーム医療を行うにはどうすればよいのでしょうか? 東京医療保健大学教授の瀬戸僚馬氏が解説します。
「医師事務作業補助者」はAIに取って代わられる?
ChatGPTが大いに注目を集めているわけですが、こうした昨今の話題のなかで「医師事務作業補助者はAIに取って代わられるのではないか」といった話をする人がいます。でもいまや3〜4万人といわれる医師事務作業補助者の実務を知る方であれば、「そんなわけないよね」とお感じになるのではないでしょうか。
ご存じのとおり、医師事務作業補助者は医師の事務作業を補助することで、医師が診察業務を円滑に行えるようにサポートする業務に従事しています。「事務」といってもRPAなどに代替できるものではなく、クラークとして「対人支援をする職業」ですから、なくなるわけがないのです。
「医師事務作業補助者」という職種の強み
いま、「医師の働き方改革」施行(2024年4月)を前に改めて注目されることの多い医師事務作業補助者ですが、実際の業務内容は医療機関の特性によってさまざまといえます。
ただ、1ついえるのは、医師事務作業補助者は比較的に新しい職種であり、いわば医療機関のなかにあとから割って入ってきた職種であるがゆえに医師・看護師・メディカルスタッフ・事務職など、さまざまな職種が「多職種協働」を行う医療機関のなかでアメーバのような柔軟な動きができるところに強みがあるのではないかと私は考えています。
ここでは、タスクシフトをするうえでの重要になる考え方、医師事務作業補助者にとって魅力ある職場にしていくためのコツ、そして医療DXとの関わりについても交えながら論じていきたいと思います。
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東京医療保健大学教授
医療情報システムや情報デバイスの活用を通じた病院業務の可視化とワークフロー再構築、とくに職種間及び施設間の役割分担の見直しが関心領域。
2023年5月には医療機関向けサービス比較サイト「コトセラ」( https://www.cotocellar.com/ )のウェビナーに登壇して好評を博した。
【経歴】
津久井赤十字病院での臨床、杏林大学医学部付属病院での情報システム担当を経て、2009年より東京医療保健大学医療保健学部医療情報学科助教。2011年、講師。2016年、准教授。2020年、教授に就任。
第13回日本医療情報学会看護学術大会大会長(2012年8月)、日本医療マネジメント学会第18回東京支部学術集会長(2018年2月)、第17回日本医療秘書学会学術大会長(2020年2月)。日本クリニカルパス学会理事(2021年4月~)、日本レセプト学会理事(2022年4月~)
【主な業績】
(論文)
瀬戸僚馬:電子パスの課題や問題点~診療記録としての品質保証と活用を中心に~, 日本クリニカルパス学会誌, 2016; 18(1): 67-71
瀬戸僚馬:医師事務作業補助者の継続教育内容に関する日英比較, 医療秘書教育全協誌 2015; 15(1): 23-34
Seto R, Inoue R, Tsumura H. Clinical documentation improvement for outpatients by implementing electronic medical records, Stud Health Technol Inform. 2014;201:102-7
瀬戸僚馬:医師事務作業補助者の医療安全に対する責任範囲, 医療秘書教育全協誌 2014; 14(1): 22-32
(著書)
瀬戸僚馬(編者代表):電子カルテの看護記録, 日総研出版, 2017.
瀬戸僚馬(編著):医療経営士テキスト 中級シリーズ 第4巻 医療ITシステム 第2版. 日本医療企画 2016 東京.
瀬戸僚馬 編:医師事務作業補助・実践入門BOOK.東京:医学通信社 2013.
瀬戸僚馬 編:医師事務作業補助マネジメントBOOK-システム構築から運用管理、教育・指導まで 完全活用マニュアル,医学通信社,2012 東京.
瀬戸僚馬 編:師長のための看護助手・医療クラーク協働ハンドブック,日総研出版,2012.10,名古屋.
著者プロフィール詳細
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