(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス感染症の流行を契機に広まった「オンライン服薬指導」。利便性が注目される一方で、対面では自然に伝わるはずの非言語コミュニケーションが欠けるという課題も浮き彫りになっています。最近の研究では、目線のずれが患者との信頼関係やコミュニケーションに影響を与えることが明らかになりました。本記事では、北海道大学大学院薬学研究院の森綾子氏がオンライン服薬指導における目線の重要性とその改善策について解説します。

オンライン服薬指導に潜む非言語コミュニケーションの壁

新型コロナウイルス感染症の流行は、医療現場に大きな変化をもたらしました。感染拡大を抑制するため、多くの医療機関においてオンライン診療やオンライン服薬指導といったリモート対応が広まりました。

 

感染対策以外に「オンライン」であることの大きなメリットは、患者が場所を選ばずに医療サービスを受けることができる点でしょう。特に、遠隔地に住む患者や移動が難しい高齢者にとって、この手段は有効だと考えられます。しかし、その利便性が高く注目される一方で、オンライン環境特有のコミュニケーションの難しさも指摘されています。

 

服薬指導は患者が処方された薬を適切に使用し、治療を効果的に進めるために薬剤師が情報を提供するプロセスです。そこでは薬の正しい使い方、注意点、期待される効果などについて説明します。服薬指導の目的は、薬物治療の効果を最大限に高め、副作用のリスクを軽減することです。また、患者が治療内容を理解し、適切な服薬行動を継続できるよう支援することも重要な役割です。そのためには、患者と薬剤師の信頼関係の形成が必要でしょう。

 

しかしながらオンライン環境では、どうしても目線や表情、ジェスチャー、声のトーンといった非言語的な要素が伝わりにくくなります。これらの非言語的な要素は、薬剤師からすれば、患者の感情や理解度を把握し、信頼を深めるのに不可欠なものですが、オンラインでは双方において制約がかかります。患者の戸惑いや不安などの兆候に、薬剤師が気付きにくくなる可能性があります。

 

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