(政策修正を促す材料になるか)
今回の短観では、景況感の幅広い改善や堅調な設備投資計画、価格転嫁の継続や予想物価上昇率の高止まりが示される可能性が高いと見ている。そして、その場合は日銀による政策修正を後押しする材料になり得る。
より厳密には、日銀は賃金や物価について「不確実性が高い」との判断を維持しており、その動向を見定める姿勢を強調していることから、いずれにせよ、早期に正常化を推し進める可能性は低い。しかしながら、短観の内容も含め、好材料がある程度出てくれば、金融緩和の副作用を和らげるために金融緩和の手を多少緩めるとの判断に傾きやすくなるだろう。
一方、昨年末の政策修正(長期金利操作目標の上限引き上げ)の主因となったイールドカーブの歪みは足元で解消されているうえ、政策修正の障害となる米国の利下げ開始までには少なくとも半年以上の時間がかかるとみられるため、日銀が政策修正を急ぐ必要性は低下している。従って、日銀が政策修正に踏み切るにはもうしばらく時間がかかると予想している。