(※写真はイメージです/PIXTA)

成年後見人は、判断能力が十分でない人の代わりに、契約や財産管理などをする役割を担って、本人を助けることができます。そうはいっても本人に役立つことならなんでもできるわけではありません。では、具体的にどのようなことはできて、どのようなことはできないのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

誰が成年後見人になれる?

(※写真はイメージです/PIXTA)
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成年後見人には、どのような人がなるのでしょうか? 順を追って解説していきます。

 

成年後見人になれない人

次の人は欠格要件に該当するため、成年後見人になることはできません(民法847条)。

 

・未成年者

・家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人

・破産者

・被後見人に対して訴訟をした者、その配偶者、直系血族

・行方の知れない者

 

これら以外の人であれば、法律上は、誰でも成年後見人になることが可能です。特別な資格が必要となるわけではありません。

 

成年後見人は誰が決める?

成年後見制度を利用するための申し立てにあたって、候補者を記載することはできます。候補者を記載するとは、成年後見人になろうと考えている人を、成年後見人に選んで欲しいということを裁判所に伝えるために、申立書に成年後見人「候補者」として記載することを意味します。

 

ただし、これはあくまでも「候補者」でしかなく、必ずしもその人が選任されるとは限りません。実際には、全体の約80%以上で、親族以外(弁護士や司法書士など)が成年後見人等に選任されています※1

成年後見制度を利用する手続きの流れ

(※写真はイメージです/PIXTA)
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成年後見制度を利用するには、どのような流れを踏めばよいのでしょうか? 基本的な流れは次のとおりです。

 

専門家に相談する

成年後見制度の利用にあたって、専門家への相談が必須となるわけではありません。手続のやり方を自分で調べたり、家庭裁判所に電話で問い合わせたりしながら進めることができるでしょう。

 

しかし、後ほど解説するように、成年後見制度の利用には注意点が少なくありません。また、一度後見人等に選ばれてしまったら、簡単には辞めることができないため、制度をよく理解しておくことが必要です。そのため、申し立てを行う前に、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

 

家庭裁判所に申し立てる

成年後見人等の選任を申し立てることが決まったら、必要書類を準備して、申し立てを行います。申立先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。申し立てに必要な書類は非常に多いため、1つずつ準備を進めていきましょう。主に必要となる書類は、次のとおりです※2

 

・後見・保佐・補助開始等申立書

・申立事情説明書

・親族関係図

・親族の意見書

・後見人等候補者事情説明書

・財産目録

・収支予定表

・本人の戸籍謄本(発行から3ヵ月以内)

・本人の住民票(発行から3ヵ月以内)

・成年後見人候補者の住民票(発行から3ヵ月以内)

・本人に関する医師の診断書(発行から3ヵ月以内)

・本人情報シートの写し(医師に診断書を作成してもらうにあたり、医師に本人の生活状況を伝える「本人情報シート」の写し)

・本人の健康状態に関する資料(介護保険認定書、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳など)

・本人の成年被後見人等の登記がされていないことの証明書

・本人の財産に関する資料(預貯金通帳の写し、不動産登記事項証明書、ローン契約書の写しなど)

・本人の収支に関する資料(年金額決定通知書、給与明細書、確定申告書、家賃や地代などの領収書、施設利用料、入院費、納税証明書、国民健康保険料などの決定通知書など)

 

必要書類が非常に多いため、専門家のサポートを受けながら準備を進めるとよいでしょう。

 

成年後見人等が選任される

申し立てをすると、家庭裁判所によって調査が行われます。調査とは、本人との面談や、後見人等候補者との面談、親族への意向照会などです。また、申し立て時に提出をした診断書とは別途、本人の精神鑑定が行われることもあります。これらの調査を経たうえで、必要性が認められた場合、成年後見人等を指定する審判が行われます。

 

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