(※写真はイメージです/PIXTA)

成年後見人は、判断能力が十分でない人の代わりに、契約や財産管理などをする役割を担って、本人を助けることができます。そうはいっても本人に役立つことならなんでもできるわけではありません。では、具体的にどのようなことはできて、どのようなことはできないのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

「成年後見制度」とは?

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成年後見制度とは、判断能力が十分でない本人の法的な意思決定を助け、財産や権利を保護するための制度です。はじめに、法定後見の種類について解説していきましょう。

 

成年後見人等

法定後見には、本人の判断能力の程度に合わせて次の3類型が存在します。

 

・後見

・保佐

・補助

 

・後見

後見とは、通常の状態において判断能力が欠けている方を対象とする制度です。代理人(「成年後見人」といいます)は、財産に関するすべての法律行為についての代理権を持ち、また日常生活に関する行為以外のすべての行為について取消権や同意権を有します。本人の判断能力が常にない状態で、その人の利益を保護するためにつく代理人であるため、成年後見人の権限のおよぶ範囲が広くなっています。

 

・保佐

保佐とは、判断能力が著しく不十分な方を対象とする制度です。代理人(「保佐人」といいます)は申し立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める一定の法律行為について代理権を持ち、民法13条1項に規定された借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築・増築などの行為について、同意権と取消権を有します。

 

・補助

補助とは、判断能力が不十分な方を対象とする制度です。代理人(「補助人」といいます)は申し立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める一定の法律行為について、代理権、取消権、同意権を有します。不十分とはいえ、本人がある程度判断能力を有しているため、補助人の権限のおよぶ範囲は狭くなっています。

 

任意後見人

成年後見人等が裁判所で選任されるものであることに対し、任意後見人は、本人と第三者とが、将来に備えて契約で決める後見人のことをいいます。任意後見制度を利用するためには、本人にまだ判断能力があるうちに、任意後見人候補者とのあいだで任意後見の契約を交わすことが必要です。本人が判断能力を失ったあとから利用することはできません。

 

また、任意後見契約は、公正証書で作成することが要件とされます。任意後見人が持つ代理権の範囲は、当人同士の契約である程度自由に定められます。ただし、法定後見とは異なり、同意権や取消権を付与することはできません。

 

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