「生前整理」とは?
生前整理は法律用語ではなく、法令で定義のあるものではありません。一般的には、自分が生きているうちに自分の身の回りの整理をしておくことを指すことが多いでしょう。
日本ではもともと生きているうちに「死」について考えることは縁起が悪いとされ、タブー視されてきました。しかし、昨今の「終活」ブームのなか、生前に死後のことを考えた対策をする人は珍しくなくなり、生前整理をする人も増えつつあります。
「遺品整理」との違い
生前整理と似ている言葉として「遺品整理」があります。遺品整理とは、家族などが亡くなったあと、家の中に遺っていた「遺品」などを片付けることを指します。
生前整理と遺品整理の主な違いは、次のとおりです。
生前整理の種類
具体的な「生前整理」がなにを指すのかは状況によって異なりますが、一般的には、次の2つを指すことが多いでしょう。
1.身の回りの「モノ」の整理
生前整理の1つ目は、身の回りの「モノ」を整理することです。
長年暮らしてきた家は、多くの物であふれていることが少なくありません。たとえば、衣服や食器、写真、書籍、趣味で集めた品物などです。
生前整理として、これらのうち手元に残さないものは捨てたり、人にあげたり、売ってお金に換えたりすることなどが考えられます。現像した写真などは、データ化して保存するという方法もあるでしょう。整理すべき物が多い場合には、専門業者に処分や買取りを依頼する場合もあります。
2.「財産」の整理
生前整理の2つ目は、財産を整理することです。たとえば、使っていない銀行口座を解約したり、生前贈与をしたりすることなどが考えられます。
こちらについては、後ほど詳しく解説します。
生前整理の主なメリット
生前整理をすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか? 主なメリットは、次のとおりです。
遺族の負担を軽減できる
生前整理の最大のメリットは、自分が亡くなったあとの家族の負担を軽減できる点にあります。
同居していなかった家族が遺品整理をすることになった場合、どこになにがあるのかわからないことが一般的です。そのため、遺品整理をしようにも、なにから手を付けたらよいのかわからず、途方に暮れてしまう場合が少なくないでしょう。家族が行う場合には、同時に銀行預金の解約など相続手続きも進めなければなりません。しかし、通帳などをどこにしまっているのかがわからなければ、これを探すだけでもひと苦労です。
また、自分で集めた物でなければ、なにが大事なのか、なにが価値のある物なのか判断することも容易ではないでしょう。そのため、捨てるに捨てられず、整理が進められないことにもなりかねません。
あらかじめ生前整理をしておくことで、このような家族の負担を大きく軽減することが可能となります。
相続トラブルの防止につながる
生前整理をしておくことで、相続トラブルの防止につながる可能性があります。
相続トラブルは、相続人同士が疑心暗鬼となったことから発生するケースが少なくありません。たとえば、相続人の1人が「亡くなった人(「被相続人」といいます)のお金を使い込んだり遺品を隠したりしたのではないか」などと疑われ、争いに発展するケースがあります。
生前整理の一環で自分の財産一覧表を作成したり、家が整理されてどこになにがあるのかがわかりやすくなったりすることで、このようなトラブルを避けることにつながります。また、あわせて遺言書を作成しておけば、相続トラブルを防ぐ効果がさらに大きくなるでしょう。
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