(※写真はイメージです/PIXTA)

成年後見人は、判断能力が十分でない人の代わりに、契約や財産管理などをする役割を担って、本人を助けることができます。そうはいっても本人に役立つことならなんでもできるわけではありません。では、具体的にどのようなことはできて、どのようなことはできないのでしょうか? 本記事では、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

成年後見人が主にできないこと

(※写真はイメージです/PIXTA)
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成年後見人は、本人のためのすべての行為ができるわけではありません。成年後見人ができない行為は、主に次のとおりです。

 

本人の利益にならない行為

成年後見人は、本人の利益を保護する役割を持っています。そのため、本人の利益にならない行為をすることはできません。本人の利益にならず、原則としてできない行為には、たとえば次のものが挙げられます。

 

・本人の財産を、子供や孫などに贈与する行為

・子供や孫などが家を建てるにあたって、本人名義の土地などに担保をつける行為

・相続対策として、本人のお金でアパートを建築する行為

 

これらのなかには、本人が正常な判断能力を有していれば、本人自ら行ったはずの行為もあることでしょう。しかし、これらの行為を行うことは家庭裁判所の許可が下りない可能性が高く、原則として成年後見人が行うことはできません。

 

掃除や洗濯などの直接的な生活支援

掃除や洗濯、料理など直接的な生活支援は、成年後見人の権限の対象外です。そのため、専門家が成年後見人に就任した場合には、専門家がこれらの行為を行うわけではありません。ただし、家族が成年後見人に就任している場合には、「成年後見人として」ではなく、家族として生活支援を行うことは少なくないでしょう。

 

介護

介護は、成年後見人の権限の対象外です。本人が適切な介護サービスを受けるための契約締結などは成年後見人の役割である一方で、直接的な介護を成年後見人が行うことはできません。なお、掃除や洗濯などと同様に、「成年後見人として」ではなく、家族として介護を行うことはもちろん可能です。

 

医療行為への同意

成年後見人は、医療行為への同意をすることはできません。成年後見人ができない医療行為への同意とは、たとえば手術への同意や、胃ろう造成、人工呼吸器着脱への同意などです。ただし、この点は誤解されていることも多く、医療従事者のから成年後見人に対して医療行為への同意を求められる場合もあるようです。なお、こちらも成年後見人が本人の家族である場合には、家族として同意を行うことはあるでしょう。

 

遺言の代理

成年後見人は、本人の代わりに遺言を作成することはできません。遺言の作成は、本人のみができる行為です。そのため、成年後見人に限らず、弁護士などの専門家や家族などであっても、代理で遺言を書くことはできません。

 

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