(※写真はイメージです/PIXTA)

夫が不倫。離婚は当然だが、相手から慰謝料も獲れるだけ獲りたい。ところが相手は若く、低収入。感情に任せた金額の請求は、やはり非現実的なのでしょうか…。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、若い不倫相手からの慰謝料請求の現実的ラインについて、岡部将吾弁護士に解説していただきました。

夫が19歳と不倫。どれくらい慰謝料を請求できるのか

相談者のコマツコさん(女性・仮名)は、ご主人と7年の交際期間を経て結婚し、1年6ヵ月になります。

 

知り合って9年目を前に、ご主人の不倫が発覚します。相談者は28歳、夫は30歳、不倫相手は19歳(8月で20歳)です。

 

夫に女性の影が見え始めたのは去年の夏頃から。確証を得たのは2月の頭ごろです。夫のLINEをこっそりチェックし、動かぬ証拠を見つけました。

 

LINEのトークには赤裸々なやりとりの数々が記載。相手方の女性は、夫が既婚者であることを知りながら、「好き」「会いたい」「一緒に暮らしたい」等のほか、性行為をほのめかす会話も……。

 

相談者は2人が会う日を特定し、探偵を雇って不貞行為の証拠も入手したといいます。

 

夫にはまだなにも話していません。

 

気付かれていないと思っているのでしょう。2人は未だに毎日LINEでやりとりしている状態です。これらの事情は、義両親、実両親には相談済みです。

 

義両親には「夫婦関係が上手くいかない。その上女性の影がある」という旨しか伝えていません。

 

相談者としては、弁護士を雇う余裕もなく、2人に慰謝料を請求し、なんとか示談で離婚できればと考えています。

 

ひとつ懸念材料があるとすれば、不倫相手のバイト先と思しき場所こそ突き止めたものの、住所や電話番号等を特定できていないことです。近々、義両親、実父、私達夫婦でこの件について話し合いをしようと思っています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

(1) 弁護士を雇わず、19歳の不倫相手に慰謝料を請求することは可能か。請求するにはどのような手続きが必要か。

 

(2)請求額はやはり、年相応の収入額になるのか。相手の両親等に負担がいくようなことは法的には考えられないのか。

 

慰謝料請求自体は可能だが、回収可能性の問題あり。

1.相手方の年齢に関わらず、慰謝料請求は可能

不貞慰謝料請求は、相手方女性の年齢に関わらず可能です。

 

また、相手方が若年であることや収入が少ないことなどは、法的には、慰謝料を否定や減額する理由にはなりません。

 

本件では、不貞行為の証拠を入手済みであり、また、ご主人が既婚者であることについての相手方の故意又は過失もLINEのやりとり等から立証できそうです。

 

したがって、本件は、相手方に対する慰謝料請求が認められる可能性が十分にある事案です。

 

2.回収可能性の問題

しかし、法的に慰謝料請求が認められることと、現実的な慰謝料の回収可能性とは、別問題です。

 

本件のように相手方が若年の場合には、資力がなく、また、収入も不安定のことが少なくありません。

 

したがって、仮に勝訴判決を獲得できても、差押え対象となる資産が見当たらず、慰謝料の回収が困難になってしまうリスクがあります。

 

3.親への請求はできない

不貞行為による慰謝料支払義務は、民法上の不法行為責任であり、原則として不法行為を行った本人のみが責任を負います(民法709条)。

 

また、相手方は若年とはいえ19歳と成人しており、両親に監督責任を問うことはできません(同714条1項、及び、712条参照)。

 

もし相手方の両親が任意で慰謝料の肩代わりや保証を申し出てくれば、両親から慰謝料を回収することも可能になりますが、あくまで任意での申出があった場合に限られ、強制することはできません。

 

4.弁護士に依頼せずに慰謝料請求ができるか

(1)相手方の住所の調査の必要性

 

本件では、相手方の住所が不明であるため、住所の調査から行う必要があります。具体的には、把握できているバイト先(就労先)に対して、弁護士会照会や民事訴訟法上の調査嘱託等を行うことが考えられます。

 

なお、住所不明のままの場合には、就労先を相手方の送達先として訴訟や調停を申し立てることも考えられます。

 

(2)弁護士に依頼しないと難しい

 

一般的に、不貞行為の慰謝料請求は、弁護士に依頼せずに交渉や手続きを進めることもできないわけではありません。

 

しかし、本件では、上記(1)のように、相手方の住所調査の必要がありますので、弁護士に依頼せずに進めることは難しいと思われます。

 

なお、相手方の住所が判明しない場合には、事実上、①夫から相手方の情報を聞き出す、②相手方のバイト先に押しかけて交渉するといった方法が考えられないわけではありません。①については夫が相手方の情報を具体的に把握していて、かつ、夫が協力してくれる場合には、それで問題ありません。

 

しかし、相手方が夫に正確な住所等を教えていない場合や、そもそも夫が協力してくれない場合等には、やはり当方で相手方の住所等の調査をする必要があります。

 

また、②については、後述のとおり、当方がかえって加害者になってしまうリスクがありますので、お勧めできません。

 

5.後悔のないご判断を

以上のように、本件はそもそも弁護士に依頼せずに進めていくことが自体がかなり難しいと思われます。

 

また、仮に弁護士に依頼して勝訴したとしても、現実的には回収不能となるリスクがあります。

 

ご相談者様は、①回収不能のリスクを覚悟のうえで弁護士委任をするか、又は、②相手方への慰謝料請求は諦めご主人との離婚協議のみを行うか、難しい判断を迫られることになります。

 

いずれの方針を選択するにせよ、後悔のないようご自身が最終的に納得できる判断をなさることが大事です。

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