人を見る「八観法」とは?
それでは、「八観六験」の具体的な内容についてご紹介していきましょう。まず、八種類の人間観察法である「八観法」は以下のようなものになります。
1.通ずれば其の礼する所を観る
順調に物事が進んでいるときに、金や地位、知識や技術、仕事など、どういうものを尊重するかを観察します。
2.貴ければ其の進むる所を観る
地位が上がるにつれて、どんな人間を敬うのかを観察します。「類は友を呼ぶ」といわれるように、周りの人物をみればその人の好みや人格が垣間見えてきます。
3.富めば其の養ふ所を観る
お金に余裕ができたときに、そのお金を何に使うかによって、人間の本性が現れます。お金の使い方を見ることで、その人の人生観や倫理観まで分かります。豊かになったときに、どんな人間を養うか、どんな物を買うのかを観察します。
4.聴けば其の行ふ所を観る
知行合一させることはなかなか難しいことです。他人の助言を聞いて、それを実行するかを観察します。
5.止(いた)れば其の好む所を観る
「止(いた)る」とは「仕事が板についてくる」という意味です。仕事が一人前になったときに、どんなことを好むのかを観察します。
6.習へば其のいふ所を観る
話を聞けば、仕事や学問がどの程度身についているかがよくわかります。ある物事に習熟したとき、その人がどんな発言をするのかを観察します。
7.窮すれば其の受けざる所を観る
貧乏して何でも欲しがるようではいけません。生活に困っていても、受けてはいけない援助や利益があります。困窮した境遇に陥ったときに、受けるべきではない援助や利益を受けているかを観察します。
8.賤なれば其の為さざる所を観る
人間は窮すれば「恥も外聞もかまわない」という状態になりやすくなります。しかし、弱い立場に置かれたとしても、利益や出世のためにやってはいけないことがあります。やるべきではないことを控えられるかを観察し、真に志があるかどうかを見極めます。
人を見る「六験法」とは?
八観法で観察した、その人の行動から見いだされた人物像をさらに掘り下げる方法として、六験というものがあります。
1.之を喜ばしてめて以て其の守を験(ため)す
人間は嬉しくなると羽目を外してしまいますが、そんなときでも自分自身の生活やそれを維持する原理原則を持っているかを調べます。つまり、その人物にだらしない部分があるのかを調べるということです。
2.之を楽しましめて以て其の癖を試す
「楽しむ」というのは、好むとか喜ぶという本能的な感情に理性や教養が加わったものです。理性や教養の部分にその人の偏りや独自の思想、ものの見方が現れるので、そこを調べるというわけです。
3.之を怒らしめて以て其の節を試す
人間はどんなに怒っても、締めるところは締め、抑えるところは抑えなければいけません。怒らせてみて、その締まり方を調べます。
4.之を懼れしめて以て其の特(独)を試す
人間は恐れると何かに頼りたくなって自立性・自主性を失い、一本立ちができなくなります。その人を恐れさせて、強い自立性・自主性を持っているのかを調べます。
5.之を哀しましめて以て其の人を験す
ここでいう「哀し」は、慈悲の意味で使われています。人間は悲しいときにその人のすべてが表れます。悲哀の感情にその人の人柄全体を見ることができるといっても過言ではありません。
6.之を苦しめて以て其の志を験す
人は苦しいことにぶつかると、志が挫折することがあります。その人の志が苦しみに対して堅固かどうかを調べます。苦しみに耐えて理想を追求していける人間なら間違いはありません。
このように、八観法は行動を観察することが中心であるのに対して、六験法は喜怒哀楽のほかに、恐怖や苦しみといった状況におかれたときに現れる、その人物の隠すことのできない本質部分を調べるという方法だといえます。
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