植田新総裁「2度目」となる日銀会合のゆくえ
次に、16日予定の日銀の金融政策決定会合についてみていきます。植田新総裁就任後2度目となる今回の会合でも、焦点は長期金利の10年債利回りに上限を設定しているYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の見直しや撤廃の可能性でしょう。
10年債利回りの上限を0.25%から0.5%へ拡大したのは、2022年12月でした。これは、日本の10年債利回りに大きく影響する米10年債利回りが明確な低下局面にあった点が重要だったのではないかと私は考えました。米金利が低下局面にあるなかでは、日本の金利の上限を拡大しても、上昇は限定的にとどまる可能性があるためです(図表6参照)。
そういった観点からすると、すでに見てきたように米追加利上げ思惑がくすぶり、最近は米金利が上昇傾向で推移してきたことを考えると、さらなる日本の金利の上限拡大などには踏み込みにくいのではないでしょうか。
最近の日銀金融政策決定会合では、終了後に米ドル/円が大きく反応する状況が続いていますが、一方で日本の10年債利回りと米ドル/円の間にはとくに相関関係があるようには見えません(図表7参照)。その意味では、サプライズのYCC見直しなどがない限り、日銀の金融政策の米ドル/円への影響は限られるのではないでしょうか。
以上を踏まえると、今週はとくにFOMCの結果次第で波乱含みではありますが、米金利上昇が限られると考え、米ドル/円は137~142円中心で米ドル高・円安の行き詰まりを確認する展開を予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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