7月23日〜7月29日の「FX投資戦略」ポイント
〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は、一時155円台へ急落した。大きく米ドル買い・円売りにポジションが傾斜していたことから、米ドル売り・円買い材料に過敏に反応したためではないか。
・また、介入警戒感の再燃で、米ドル/円と日米金利差の相関関係が復活し、日米金利差の「米ドル優位・円劣位」縮小に、米ドル売り・円買いで反応した可能性もある。
・米景気の緩やかな減速、インフレ懸念後退との見方が続くようなら、今週も米ドル/円の上値は限られ、下値リスク拡大の可能性あり。予想レンジは154~159円。
先週の振り返り=一時155円台へ米ドル急落
先週の米ドル/円は、一時155円台前半まで急落する場面がありました(図表1参照)。
米大統領への返り咲きの可能性が高くなっているトランプ氏が円安へ懸念を表明したこと、日本の閣僚の1人(河野デジタル担当相)が円安是正のために日銀に利上げを要請したこと、また株価急落でリスク回避の動きが広がったことなど、複数の米ドル売り・円買い材料が相次いだこととの解説が多かったようです。ただ、それぞれを見ると、米ドル売り・円買いに反応するほどではなかったのではないでしょうか?
このレポートなどで、これまでも何度か述べてきたように、投機筋は米ドル買い・円売りポジションに大きく傾斜してきた可能性があります。ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計によると、投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)は、最近にかけて、18万枚以上と過去最大規模に拡大しました(図表2参照)。
過去最大規模の米ドル買い・円売りポジションへの傾斜ということは、別の言い方をすると、米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念が強まっている可能性があるということです。そのなかで、米国のけん制などから「もうないのではないか」との見方もあった、日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入が、前週実施された可能性が高まりました。
さらなる米ドル買い・円売りには介入への警戒感があるところで、米ドル買い・円売りに大きく傾斜したポジションは調整が広がりやすくなっていたことも考えられます。そういった状況だからこそ、上述の米ドル売り・円買い材料にも、過敏な反応になったのではないでしょうか。
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