“平穏な暮らし”を揺るがした税務署からの電話
現在79歳のKさんは、夫のJさんを亡くしてから、1人で暮らしています。生活費の元手は、自身の国民年金と、夫Jさんの遺族年金です。
Jさんは生前、輸入家具屋を営んでいました。そのため、出張でよく海外に赴いていたそうです。そんな多忙な日々を送っていたJさんは、2年前に心筋梗塞で急逝。遺言書等もなかったため、バタバタと相続手続きを済ませることになりました。
Kさんには2人の子どもがおり、どちらも遠方に住んでいます。遺産について相談したところ、2人とも「父さんのお金は全部母さんが好きに使ってよ」と言い、相続放棄してくれました。
また、長男からは「母さん1人で大変だろうし、こっちで一緒に暮らさないか」と同居を打診されました。ただ、Kさんは思い出が詰まった自宅を離れたくなかったため「自分の体が動くうちはここにいるよ」と断り、1人暮らしを続けています。
こうして約2年が経ち、最近ではご近所さんとコミュニケ-ションをとったり、習い事を始めたりと、徐々に夫の死を受け入れられるようになってきました。
ようやく平穏な暮らしを取り戻してきたKさんのもとに、税務署から1本の電話が。聞くと「相続税調査に伺いたい」とのこと。
いったいなぜ? 相続財産はすべてきちんと申告したはずだけど……。Kさんは不思議に思いました。
調査当日…「まさかの事実」に唖然のKさん
調査の当日、税務調査官が2人でやってきました。調査官とは、次のようなやりとりがありました。
調査官「ご主人のお仕事は輸入家具店だったのですね。輸入ということは海外の方とやりとりがあるかと思いますが、海外にはよく行かれていたのですか?」
Kさん「そうですね、仕入れの関係で年2~3回ぐらいは行っていたかしら。夫の仕事のことについて私はよくわかっていないのですが、たぶんそれくらいだと思います」
調査官「海外に預金があるようですが、こちらはなぜ相続税の申告に含めてないのですか?」
Kさん「えっ、なんですかそれ。私も子どももそんな話聞いてないですよ!?」
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