(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は目立った材料がなく、139円台を中心に静かな動きとなりました。そのようななか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は「今週は打って変わって注目材料が目白押し」といいます。では、こうしたイベントを受けて、米ドル/円はどのような動きをみせるのでしょうか。吉田氏が解説します。

今週の注目点…FOMC受けて波乱含みの展開か

さて、先週から打って変わって、今週は注目材料目白押しとなります。そのなかでも最大のイベントはやはり14日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)でしょう。

 

さらに15日がECB(欧州中央銀行)、16日が日銀と日米欧の金融政策決定会合が3日続く予定となっています。そこで、これら注目イベントのなかから、とくにFOMCと日銀会合を取り上げ、米ドル/円への影響について考察します。

 

まずはFOMCについてみていきましょう。上述のように、FOMCは6月会合では利上げを見送るとの見方がなお有力ですが、一方で7月会合では利上げを再開するとの見方も根強いようです。FOMCが、6月会合で利上げを見送る可能性がある背景には、インフレ是正への自信もあるのではないでしょうか。

 

それを確認する手掛かりとなりそうなのが、FOMC前に予定されている米インフレ指標発表で、以下のように今のところは順調にインフレ率が低下するといった予想になっています。

 

〈13日〉5月CPI前年比上昇率=前回4.9%、予想4.2%

〈14日〉5月PPI前年比上昇率=前回2.3%、予想1.5%

 

6月FOMCは、メンバーの経済見通しである「ドット・チャート」の公表が予定されています。

 

政策金利であるFFレートの2023年末の予想中央値は、3月に公表された「ドット・チャート」では5.1%でしたが、それが上方修正された場合は、基本的にFOMCが現在5~5.25%となっている誘導目標のさらなる引き上げも想定しているといった意味になるでしょう。

 

米ドル/円が連動しやすい米2年債利回りは足元でFFレートを下回る水準での推移が続いているので、さらなる利上げの可能性が強まれば米2年債利回りも一段と上昇する可能性があります。逆に、FOMCがさらなる利上げを想定していないとなった場合、米2年債利回りは低下する可能性もあるでしょう(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米2年債利回りとFFレート(2018年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

最近の米ドル/円と米2年債利回りの関係を前提にすると、米2年債利回りが4.7%まで上昇すると米ドル/円は142円、米2年債利回りがさらに5%へ向かうようなら米ドル/円は145円を目指すといったところが基本的なイメージではないでしょうか。

 

一方で、米2年債利回りが4%へ向かって低下するようなら、米ドル/円は137円割れへ反落するといった見通しになります(図表5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]米ドル/円と米2年債利回り(2023年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

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