(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の「タカ派FOMC」を受けて、米ドル/円は「1ドル140円」を明確に上抜けるなど、2022年10月に記録した「1ドル151円台」の円安が現実味を帯びてきました。こうしたなか、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は、日銀による「円安阻止」介入再開の可能性を指摘します。米ドル/円が151円台に向かう可能性と、日銀の今後の動きについて、吉田氏が予想します。

6月20日~6月26日「FX投資戦略」のポイント

〈ポイント〉

・先週の米ドル/円は「タカ派」FOMCを受けてこの間の米ドル高値更新

・140円を大きく超え始めたことで、円安阻止介入再開も注目。また21、22日予定のパウエルFRB議長の議会証言にも注目が集まりそう

・今週の米ドル/円は139~144円中心で高値波乱含みの展開を想定

先週の振り返り…「タカ派FOMC」受け米ドル高値更新

先週の米ドル/円は、注目されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の後から一段高に向かい、この間の米ドル高値を更新するところとなりました(図表1参照)。

 

出所:マネックストレーダーFX
[図表1]米ドル/円の日足チャート(2023年3月~) 出所:マネックストレーダーFX

 

きっかけは、更新されたメンバーの経済見通しである「ドット・チャート」で、2023年末のFFレートの予想値が0.5%と予想以上に上方修正されたことでした(図表2参照)。

 

出所:FRBリリースをもとにマネックス証券が作成
[図表2]「ドット・チャート」の2023年末の予想値 出所:FRBリリースをもとにマネックス証券が作成

 

これをそのまま受け止めると、FOMCは現在5~5.25%となっているFFレートの誘導目標を、さらに5.5~5.75%まで引き上げる可能性があることを想定していると見られます。

 

米2年債利回りなどの短中期の米金利はFFレートの影響を強く受けるので、さらなる利上げが現実味を帯びるようなら、短中期の米金利も一段と上昇する可能性があります(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米2年債利回りとFFレート(2018年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

米ドル/円は米2年債利回りとこれまで高い相関関係が続いてきました。この関係がこの先も続いた場合、FFレートの誘導目標上限が実際に5.75%まで引き上げられるとして、米2年債利回りと米ドル/円もそれに追随したなら、2022年10月に記録したこの間の米ドル高値である151円の更新も視野に入る見通しとなります図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円と米2年債利回り(2023年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上のように、FOMCが予想以上に「タカ派」だったとして、「米金利上昇=米ドル高・円安」が広がるところとなりましたが、その動きを後押しするようになったのが金曜日の日銀金融政策決定会合でした。

 

ここでは、事前の予想通りに現行の金融緩和の継続が確認されましたが、それを受けて改めて円売りが強まるところとなりました。

 

このところ世界的な株高、リスクオンの動きが広がるなかで、低金利の円資金を安く調達し、それを売ってより高い利回りの先へ投資する「円キャリー」と呼ばれる取引が拡大していると見られています。

 

こういったことから、円の低金利継続を確認した上で円売りを再開するといった流れになっている可能性はあるでしょう。

市場では「円の売られ過ぎ」懸念も拡大しているが…

ただし、一部のデータを見る限り「円の売られ過ぎ」懸念も徐々に拡大しているようです。

 

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円売り越しは10万枚以上となり、ここ数年の最高水準まで拡大してきました(図表5参照)。

 

円は米ドル以外の通貨に対しても下落、全面安の様相となっていることから、この「円売られ過ぎ」がどこまで続くかも今後の注目ポイントのひとつとなりそうです。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

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