「没後100年以上経ってるので〈本人の権利〉はないはず」→『家康』の像を作成し販売を計画…。著作権等侵害のリスクは本当にないのか?【弁護士が解説】

「没後100年以上経ってるので〈本人の権利〉はないはず」→『家康』の像を作成し販売を計画…。著作権等侵害のリスクは本当にないのか?【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

人気にあやかって商売すれば、ゼロベースに比べ格段に加速しやすくなります。一方で、人の褌を使ったビジネスであり、権利関係を愚かにすると痛い目にあいかねません。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、著名人の著作権で注意すべきポイントについて、知財関係に精通する浅川有三弁護士に解説していただきました。

歴史上の人物の像をつくってるのは違法?

相談者のイシカワさん(男性・仮名)は、 徳川家康の像を作って販売しようと計画しています。著作権については、「没後百年以上経ってるのでないはず」との考えです。

 

誰もが知る歴史上の人物。ちょうどいま、大河ドラマが放送されていることもあり、話題性もあるだろうとの思惑も少しあります。

 

像については、歴史的な画像などを参考に完全オリジナルで作成の予定といいます。もちろん、著作権も含め、何らかの権利を侵害する恐れがあるなら、クリアをした上で計画を進めていくつもりです。

 

そこで、相談者のイシカワさんは、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

(1)著作権侵害の可能性はあるのか?

(2)著作権侵害にならないようにするには、どのような工夫が必要か?


人の容姿にまつわる権利あれこれ

徳川家康の像を作成し販売する計画を立てている、ということですが、実在する人物の写真や画像などを利用する場合には、画像の創作者などが有する権利(著作権)だけでなく、画像に描かれている本人の権利(肖像権等)についても注意が必要です。

 

そこで以下では、著作権と肖像権等、二つの観点から解説をしていきます。

 

(1)著作権について

 

著作権とは、写真や絵画などの著作物を創作した時点で、自動的に創作者(著作者)に与えられる権利のことで、著作物を独占・排他的に利用する権利(著作財産権)と、著作者の人格的利益を守る権利(著作者人格権)とがあります。

 

著作者人格権については、譲渡などの処分が認められていないため、著作者のみが有していますが、著作財産権は譲渡が可能であるため、著作物の使用の許可などを取る場合には、誰が著作財産権を有しているかを確認する必要があります。

 

相談者のケースでは、まず相談者が参考とする画像の著作権が残っていないかを確認します。著作権の保護期間は、原則として著作者の死後70年間とされていますので、相談者が参考とする絵画がいつ描かれたのかを確認しなければなりません。

 

教科書に使われているような肖像画の場合、保護期間は経過しているものがほとんどだと思いますが、過去の肖像画を元に新たな解釈を加えて描かれたような作品を参考にする場合には、著作権が切れていない可能性があるので注意が必要です。

 

次に、参考にする作品の著作権がまだ切れていない場合には、参考の仕方によっては著作権を侵害してしまう可能性があります。著作権侵害となるかどうかは、「依拠性」と「類似性」が認められるかどうかです。

 

まず、「依拠性」については、既存の著作物を参考に創作したかどうか、ということです。たとえ両者が似通っていたとしても、既存の著作物を参考にしておらず、偶然似ているに過ぎない場合は、著作権侵害とはなりません。

 

次に「類似性」についてですが、単に既存の著作物に似ている、というだけで類似性が認められるわけではなく、既存の著作物の①創作的表現部分が類似しており、②既存の著作物の本質的特徴を感じ取ることができる場合に限り、類似性が認められます。

 

ただ、ここはかなり判断が難しいところですので、自分の創作物が既存の著作物と似通っているかもしれない、と迷ったら専門家の判断を仰ぐのも良いでしょう。

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