夫の遺産、80歳過ぎの義理母と2人で相続するはずが…。「義姉」からの思わぬ妨害で「2,000万円」消失の危機。弁護士が予測する「衝撃末路」

相続を邪魔する義姉。掌返しで2,000万円が消失危機

相談者のQチャンさん（仮名）は、 夫が亡くなり遺産相続することに。

法定相続人は、相談者と80歳を過ぎた義母の2人。相談者としては早く相続手続きを終え、夫の家族から離れたいとの意向があります。

そこで相談者は、相続税の申告期限が10ヵ月であることから、滞りのないよう手続きを進めていました。

ところが、思わぬ横ヤリが入ります。

嫁いでいない夫の姉が、夫の実家にある生命保険や通帳など手続きに必要な書類をいっさい出してくれないのです。

なぜ、義姉は相続の邪魔をするのか。義姉としては義母の死後を見据え、その時の相続額が減るのが許せないようです。

相談者はとにかく手続きを前に進めたい一心で、義姉にとりあえず2,000万円を請求しました。2,000万円という金額は、夫が相談者の預貯金を当たり前のようにあてにし、無心を続け、消費された額です。

相談者の夫は、社長である義母の会社で働いており、何度か賃上げを要望。しかし応じてもらえず、加えて未払いなどもあり、相談者の預貯金が頼みの綱になっていたのです。法定相続通りならば、相談者が請求できる額は相当な高額になるはずです。

しかし、それでは義姉側から拒否されることが明白なので、最低限の金額として2,000万円を請求したのです。

義姉も当初は「請求分の2,000万円を払う」と言っていたそうです。

ところが、相続のコピーを渡した途端、「払わない」と掌を返したのです。「一緒にする」と言われていた税理士とのやり取りもうやむやにされてしまい、どこの税理士事務所を使っているかさえ教えてもらえていない状況。

申告期限は迫っており、あと2ヵ月です。相談者も義母も、病気などで、体が思うままに動かせない状態。もどかしさと悔しさも加わり、体調はどんどん悪化していきます。もはや普通に行動さえ出来ません。

相談者としては、賃貸マンション暮らしで収入もないため、配偶者控除を使って、早く相続を進めてしまいたいのですが、義姉は電話にも出てくれず、音信不通です。

八方塞がりの中、藁にもすがる思いでコナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

相続財産を調べる方法

長期間別居状態にあった場合など、夫婦間であっても夫の財産を把握できないことがあります。また、他の家族などがその財産を隠してしまう場合もあり、その場合は遺産の調査を行う必要が生じます。

夫名義の銀行口座は、どの銀行か分かっていれば、支店や口座番号が分からなくても、調査をすることが可能です。もっとも、どこの銀行か全く分かっていない場合、網羅的な調査を行うこともできすますが、費用や時間がかかってしまいます。

預金口座の調査に必要な戸籍謄本などの書類を集めることが出来れば、自ら調べることもできます。調査をするだけであれば、他の相続人の同意を得る必要もありません。

株式や投資信託などの金融商品についても、どこの証券会社を利用していたかなどが分かっていれば、弁護士が調査をすることもできます。

全く分からない場合は、銀行の調査と同様に網羅的な調査を行うこともできますが、時間がかかります。証券口座等については、銀行口座の取引履歴を取得することで、振込や入金の記録などが見つかることもあります。

生命保険金などについても調査することができますが、受取人が、たとえば義姉に指定されているものについては調査ができない場合もあります。

現金や貴金属、絵画などの資産は、所在が分からない場合は調査することができない場合がほとんどです。

義母の税務申告について義姉が一緒にすると言っていたにもかかわらず、その後、音信普通になってしまっている状況では、どこの税理士に依頼をしたのか確実に調べる一般的な方法は存在しておりません。

義母が相続税の税務申告を既に行っている場合、税務署に提出された申告書を確認したいところですが、この申告書を入手することは現時点では出来ない可能性が極めて高いといえます。