65歳以降に給料と老齢厚生年金を併給すると年金額が毎年増える
◆納めた厚生年金保険料が早期に年金額に反映される
会社員は、65歳で老齢厚生年金の受給資格を得たあとも、働き続けていれば70歳まで厚生年金保険料が給料から天引きされます。
その分年金額は増えるのですが、その金額が反映されるのは、退職したときか70歳に到達したとき、という時代が長らく続いていました。
保険料の負担があるのに、働いている間は年金を受給していても年金額が変化せず、不満を抱く人も少なくなかったのです。
しかし現在は、65歳以降に納めた保険料が年金額にすぐ反映されるしくみに変わりました。これを「在職定時改定」といいます。
在職定時改定では、毎年9月1日を基準に年金額を計算し直し、10月分から年金額が増えます。在職定時改定による年金の増額は、退職するか70歳になるまで、ずっと続きます。
年金は給料とは別に2ヵ月ごとに振り込まれます。
増額分も月額当たりでは大きなものではないかもしれません。
しかし、65歳以降は、会社員も再雇用、継続雇用などで就労の条件が変化し、給料が減ったり、昇給がなくなったりします。その中で、少しでも年金額が上がっていくことは、働いて保険料を納めるモチベーションにもなるでしょう。
◆月収20万円で働くと年金が毎年1万円以上増額
[図表4]の年金増額イメージを見てください。
たとえば、月収20万円(月額+賞与の12分の1)で1年間働くと、年金額が1.3万円アップします。
さらに厚生年金加入期間が40年未満だと、経過的加算が毎年2万円程度増えます。
年金額が増えることで気をつけたいのは[図表1][図表2]で紹介した在職老齢年金の年金減額基準です。
65歳以降も給料と年金の合計が月48万超になると年金が減額されます。せっかく増やした年金を減らさないよう、うまく調整して働きましょう。
小泉 正典
社会保険労務士小泉事務所
代表・特定社会保険労務士