「もらい忘れ」多発!“60代前半”のための「特別の年金」と”年の差夫婦”のための「+39万円の年金」【社会保険労務士が解説】

「もらい忘れ」多発!“60代前半”のための「特別の年金」と”年の差夫婦”のための「+39万円の年金」【社会保険労務士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

年金の受給開始年齢は原則「65歳」ですが、60歳以降、申請すれば65歳になるまで受け取れる特別な年金があります。また、年下の配偶者がいる人のための制度もあります。いずれも申請しないと受け取れません。年金制度に詳しい社会保険労務士の小泉正典氏が監修した『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2023-24年最新版』(ART NEXT)からわかりやすく解説します。

「1966年4月1日以前」生まれの人は忘れずに!60代前半専用の「特老厚」を必ず請求

◆該当する年齢に必ず年金請求を!

[図表1]「特老厚」の対象者、手続きする場所・時期

 

「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」は、60〜64歳までの間に、生年月日に応じて受給が始まる60代前半の年金です。

 

1986年の改正で支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたときに設けられた経過的な制度です。

 

現在はまだ支給開始年齢を65歳に引き上げている途中ということになります。

 

引き上げが完了する「男性1961年4月2日以降生まれ」、「女性1966年4月2日以降生まれ」には特老厚はありません。この生年月日以降の人は65歳が支給開始年齢となります。

 

[図表2]「特老厚」対象者の生年月日と支給開始年齢

 

特老厚は、決められた年齢に受給を開始するしくみのため、繰り下げ受給はできません。

 

60歳以降も働いている人は、会社が手続きしてくれると勘違いして、もらい忘れるケースもあるので要注意です。

 

失業中に失業給付を受給する人は、特老厚は支給停止になりますが、年金請求の手続きは、失業給付の終了を待つ必要はありません。

 

あらかじめ年金請求を行っておくと安心です。

 

[図表3]繰り上げ受給すると特老厚も一緒に減額

 

◆「5年前まで」なら取り戻せることも

特老厚を請求せずに5年が経過すると、時効にかかり古い順から1ヵ月単位で消滅し、消えた分は二度ともらえません。

 

しかし、あきらめてはいけません。時効になっていない年金については、5年前までさかのぼって請求することができます。

 

[図表4]65歳を過ぎて特老厚に気づいたら?

 

また、特老厚と老齢厚生年金は別のものです。続けて65歳から老齢厚生年金を受給したい人は、65歳の誕生日の前日以降に改めて年金請求を行いましょう。

配偶者が65歳になるまで約39万円加算 夫婦の年の差が大きいほどメリット大

◆繰り下げ受給とどっちが得か検討

[図表5]「加給年金」対象者、手続きする場所・時期

 

「加給年金」は、厚生年金に20年以上加入していた人が、65歳になった時点で、65歳未満の配偶者(妻または夫)や18歳の年度末を迎える前の子供がいる場合、老齢厚生年金に加算されて支給されます。

 

[図表6]対象者別・加給年金の支給額
次ページ「加給年金」の注意点
60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本2023-24年最新版

60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本2023-24年最新版

小泉 正典

ARTNEXT

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