未婚や子供のいない人が年金受給前に亡くなると遺族に一時金を支給
◆老齢年金受給前に亡くなった人に
自営業やフリーランスなど、国民年金しか加入していない人が亡くなったとき、保険料納付要件を満たしていても、子や子のいる配偶者がいなければ遺族基礎年金は支給されません。
その代わり、国民年金の独自給付として、一緒に暮らしていた家族などに「死亡一時金」が支給される場合があります。死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納付した月数が36ヵ月(3年)以上あり、年金を受給せずに亡くなってしまった人が対象です([図表1]参照)。
生きている間に老齢基礎年金または障害基礎年金を受給していた場合は、死亡一時金は支給されません。また、老齢基礎年金を受け取っていない場合でも、遺族に「未支給年金」を受け取る権利が発生している場合は、死亡一時金は支給されません。
よって、老齢基礎年金の繰り下げ受給を予定していた人が亡くなったときも、遺族は未支給年金を請求できるため、死亡一時金の対象外となります。
◆受け取れる遺族は「生計同一」が要件
受け取れる遺族の優先順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で、生計を同一にしていた人が対象になります。
金額は、納めた保険料に応じて12万~32万円で、付加年金を36ヵ月以上納めていた人は、8,500円が加算されます。
死亡一時金は、死亡の日の翌日から2年過ぎるともらえなくなります。請求期限に注意しましょう。
婚姻関係10年以上の妻が夫の死後60歳から64歳まで受け取れる年金
◆国民年金加入者の妻のみがもらえる
寡婦年金は、死亡一時金と同じく国民年金の独自給付です([図表2]参照)。
保険料を納めた期間が10年以上(免除、任意加入期間で保険料を追納などで納めた場合を含む)ある夫が、障害基礎年金受給の要件を満たしたことがなく、老齢基礎年金の受給前に亡くなったときに支給されます。
受け取れるのは、夫が亡くなったとき、夫によって生計を維持されていた65歳未満の妻です。婚姻期間(事実婚含む)が10年以上あり、老齢基礎年金を繰り上げ受給しておらず、収入が年額850万円未満(所得年額655.5万円未満)であることが要件です。
この年金の特徴は、妻が60〜65歳に達するまでの5年間限定で支給されることです。夫が亡くなったとき、妻が50代だったとしても支給されるのは60歳になってからです。
ただし、その間に再婚した場合(事実婚を含む)は支給されません。
また、夫が亡くなった原因が交通事故の場合、損害賠償を受けたときは、寡婦年金は一定期間支給停止になります。
寡婦年金の金額は、亡くなった夫が受け取ることができた老齢基礎年金の4分の3です。
たとえば、夫が満額の79万5,000円を受け取れるはずだった場合は、年額59万6,250円になります。
寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取れる場合は、どちらかを選択することになります。