「売上総利益」と「営業利益」から一発でその会社の“商品力”が見抜けるワケ【人気簿記講師(税理士)が解説】

「売上総利益」と「営業利益」から一発でその会社の“商品力”が見抜けるワケ【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は、損益計算書からその会社の「商品力」や「本業の実力」を見抜くポイントを説明します。

2.「売上総利益」は会社の扱う「商品の強さ」を表す

「売上高」から「売上原価」を差し引くことで算定される利益が、「売上総利益」です。通称、粗利(あらり)とも呼ばれます。②

 

たとえば、消しゴム専門店を開業していたあなたが、事業を拡大して事務用品店を行うことにしたとします。

 

店頭に並べるために、鉛筆、ボールペン、シャープペンシル、ふせん、下敷き、朱肉、定規、コンパス……様々な事務用品を仕入れます。その仕入れた商品をお客さまに販売します。

 

今期2,000億円分の事務用品を3,200億円で販売したとしましょう。そのとき、売上高は3,200億円、売上原価が2,000億円となり、売上総利益は1,200億円になります。

 

売上高−売上原価=売上総利益

 

3,200億円-2,000億円=1,200億円

 

商売の基本は、安く仕入れたものをいかに高く売るかです。高く仕入れたものを安く売ることなら誰にでもできます。外部から購入した代金に、会社が儲けを上乗せして販売価格を決めます。その差額が付加価値(会社が付加した価値)になります。

 

たとえば、2つのケーキがあります。片方は仕事帰りに自分へのご褒美としてコンビニで買った300円のケーキ、もう片方は行列のできる人気店に長時間並んで手に入れた900円のケーキです。

 

ケーキの材料といえば、小麦粉、砂糖、生クリームにフルーツなどです。人気店は素材にこだわり、高い材料を使っているかも知れませんが、材料費で考えれば、どちらのケーキも、ほぼ同じものを使っています。

 

コンビニでは、原価100円のケーキを300円で販売し200円の利益を得ていました。一方、人気店は、原価200円のケーキを900円で販売し700円の利益を得ていました。

 

この利益の違いが、会社が付加した価値なのです。高くても欲しい、並んででも欲しい人気店には、容易に真似できない技術などを使って生み出した価値が上乗せされています。

 

高くても欲しい、並んででも欲しい商品、いわゆる高付加価値商品を扱っていれば、それが「売上総利益」に現れます。

 

つまり「売上総利益」の金額の大きさを見ることで、その会社がどれだけの「付加価値」を生み出すことができるのか、付加価値の高い稼ぐ力を持った魅力的な商品やサービスを扱っているのかが分かります。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

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