「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】

「損益計算書」から企業の“安全性”がはっきりわかる「4つの利益率」の読み方【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって重要です。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は、損益計算書の数字を基に算出できる、企業の収益性の高さを示す4種類の「利益率」について解説します。

「率」で比べれば、他社比較、期間比較が容易になる!

いきなりですが、次の質問に答えてみてください。

 

[図表1]のA社、B社、C社のうち、どの会社が今期一番、収益性が高いですか?

 

[図表1]A・B・C社の売上高・売上原価・売上総利益

 

何かひっかけがあるのかなと疑う時間を含めても、5秒もあれば分かりますよね。答えはC社です。

 

では、[図表2]のD社、E社、F社では、どの会社が今期一番、収益性が高いですか?

 

[図表2]D・E・F社の売上高・売上原価・売上総利益

 

これだと、一目では分からないのではないでしょうか。

 

[図表1]の場合は、3社とも売上高が同じなので、利益額だけで判断できます。しかし、現実には、[図表2]の場合のように「同じ売上高の会社を探すほうが難しい」。というより、まったく同じ売上高の会社を見つけられたら、それは奇跡です。

 

そこで登場するのが「利益率」です。算出方法は簡単です。

 

利益を売上高で割って100を掛ければ求められます。

 

売上総利益/売上高×100

 

[図表2]の場合なら、次のようになります。

 

[図表3]D・E・F社の利益率

 

このとおり、利益率を求めれば、D社の収益性が一番高いことが分かります。しかも利益額は、F社より120億円も少ない会社でした。

 

このように売上高に対して、売上総利益がどれくらいの割合を占めるかを比率で表したのが「売上高総利益率」です。

 

ただし、損益計算書には「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの「利益」があります([図表4])。

 

[図表4]損益計算書の「5つの利益」

 

どの利益を使って分析するのでしょうか?

 

実は用途に応じて、すべての「利益」について「売上高利益率」を算定できます。

 

それぞれの「利益」に異なる意味があったように、それぞれの「利益率」から得られる情報も異なります。

 

計算は、売上総利益率なら「売上総利益」を「売上高」で割って100を掛ける、営業利益率なら「営業利益」を「売上高」で割って100を掛けるというように、分母の売上高は変わらず分子の利益を変えるだけです。

 

売上高に占める利益額の割合なので高ければ高いほど収益性が高いことが分かります。

 

では、各々の利益率の見方を紹介しましょう。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

●決算書を読むのに、煩雑な会計知識は一切不要! ●合格率No.1簿記講師が教える「重要項目」と「読む順番」 ●最短最速で企業分析できて、投資・ビジネスに役立つ1冊! 本書は、これまで決算書を読むことに苦手意識を抱…

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