「売上総利益」と「営業利益」から一発でその会社の“商品力”が見抜けるワケ【人気簿記講師(税理士)が解説】

「売上総利益」と「営業利益」から一発でその会社の“商品力”が見抜けるワケ【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」をわかりやすく解説します。今回は、損益計算書からその会社の「商品力」や「本業の実力」を見抜くポイントを説明します。

3.「営業利益」は会社の本業による利益

売上高から売上原価を差し引いた売上総利益から、「販売費及び一般管理費」を差し引くことで「営業利益」を求めます。③

 

会社の商品は、勝手に売れるわけではありません。会社が、販売や営業、管理活動を行い、様々な人が努力し、商品を売るための費用が必要になります。その費用が「販売費及び一般管理費」といえます。

 

売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益

 

1,200億円-900億円=300億円

 

営業利益は、その名のとおり会社の営業つまり本業による利益、会社の本業の成績といえます。

 

会社で働いてくれる従業員、販売、営業、企画、マーケティング、総務、経理……様々な人が、様々な分野で働いてくれているお陰で売上高を計上することができています。

 

役員報酬、給料、賞与、法定福利費など人件費は収益を得るために必要な支出であり「販売費及び一般管理費」に該当します。

 

会社が営業活動を行うことで発生する水道光熱費、商品を売るために使用している会社の建物や車、備品の価値の目減り分である減価償却費、事務用品を保管している保管料、自社の商品を広く世間に知ってもらうための広告宣伝活動にかかる広告宣伝費……これら、商品を売るために必要な費用、営業活動にかかった費用も「販売費及び一般管理費」になります。

 

製造業を営む会社でよく登場する「研究開発費」も「販売費及び一般管理費」に該当します。研究開発費は新商品開発のための研究開発活動のために使われる費用です。魅力的な新商品を開発するためには、ここをケチるわけにはいかない重要な費用です。

 

たとえ大ヒット商品を作った会社でも、その商品だけではいずれ消費者は飽きてしまい、売れなくなってしまいます。売り続けるためには、次の魅力的な商品が必要なのです。

 

「売上高」は、会社の本業による収益です。「売上原価」は、売上高に直接的に対応する費用で営業活動による費用です。

 

そして「販売費及び一般管理費」も営業活動による費用です。これらの「収益」と「費用」から算定される「営業利益」は、会社の本業で得られる利益、すなわち会社本来の営業活動の成果なのです。

 

[図表3]損益計算書の仕組み

 

 

石川 和男

合格率No.1簿記講師・税理士・建設会社総務経理担当役員

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

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PHP研究所

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