貸借対照表は「3つの項目」で読む! 「会社の財政状態」がよくわかるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】

貸借対照表は「3つの項目」で読む! 「会社の財政状態」がよくわかるポイント【人気簿記講師(税理士)が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

今日、会計の知識は、あらゆるビジネスパーソンにとって必要なものとなっています。税理士・民間企業の経理担当役員で人気簿記講師でもある石川和男氏が、著書『決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」』(PHP研究所)から、決算書の「読むべき項目」や「順番」について、誰にでもわかりやすく解説します。今回は、貸借対照表のポイントについてお伝えします。

資産とは、お金・物・権利の総称

貸借対照表の役割は「財政状態を明らかにする」ことです。すなわち、「財産、借金、自分で用意したお金と今までの利益の蓄積分を、企業を取り巻く利害関係者の皆さまに明らかにすること」です。

 

会計用語で財産は「資産」、借金は「負債」、自分で用意したお金と利益の蓄積分は 「純資産」といいます。

 

貸借対照表では、設立から現在までの企業の活動の成果を決算日時点の金額で表し、左側に資産、右側に負債と純資産を表示します([図表1])。

 

[図表1]貸借対照表

 

では、資産や負債、純資産とは、具体的には何か?

 

まず資産とは、細かく分けると「お金・物・権利」の3種類をいいます。

 

突然ですが「お金」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか? 財布にある一万円札や千円札などの紙幣、百円玉や十円玉などの硬貨。銀行に預けている普通預金や定期預金などの預金を思い浮かべるのではないでしょうか。

 

実は、会計でも同じです。紙幣や硬貨、各種預金は「お金」に該当します。

 

そのほかに会社組織になると、手形や小切手を振り出すために開設する当座預金、まとまった資金を短期間預ける場合に普通預金よりも高い金利で運用することができる通知預金などもあります。

 

「物」といえば、マイホームやマイカー、パソコンなどをイメージしますよね。会社でも事務所や工場などの建物、社長車や営業車などの車、10万円以上のパソコンや備品などが該当します。

 

「権利」は、友達にお金を貸していることをイメージしてください。お金を貸すと、約束の日に戻ってきますよね。会計も同じで、誰かにお金を貸していれば、将来そのお金は戻ってきます。

 

その戻ってくるお金(利息を除く)は、将来お金を受け取る権利なので資産になります。

 

もし誰かに100万円を貸していたことを忘れたら、困りますよね。そのために「100万円を貸していますよ!」ということを忘れないように「貸付金」という科目で記録しておきます。

 

無事に100万円が戻ってきたら、貸付金100万円を消して、現金100万円を増やす処理を行います。

 

また前述した美容院の信用取引のことを、会計では掛取引といいます。売主側から見れば、今月の商品代金を翌月以降にまとめて受け取る権利です。会計用語では「売掛金」といいます。

 

私が独学で日商簿記の受験勉強をしていたときは意味が分からず、言葉を丸暗記して覚えましたが、今なら「掛けで売った代金」だから売掛金なんだと覚えます。

 

会計ではこれら、お金・物・権利を総称して資産といい、貸借対照表の「資産の部」に記録します。

 

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決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

決算書は、「ここ」しか読まない 企業の伸びしろを1分で見抜く「読み方のルール」

石川 和男

PHP研究所

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