友達がいれば安心なのか?
ネットにおいては「孤独なおじさん」「友達がいないおじさん」というテーマの「おじさん叩き」の記事はPVを稼げる。有象無象のライターが中高年男性を揶揄するためだけに書いている記事も多い。
往々にしてその結論は「友達を作りなさい」「人とのつながりを作りなさい」という安易なものに陥りがちだが、それが的外れであることは前節に書いた通りである。
逆に、そういう記事を書いている筆者たちに聞きたいのが「友達が大勢いれば孤独にならないのか?」という点である。
多分こう返答するだろう。
「友達が多くいれば寂しくない。だから孤独には苦しまないでしょ」と。恐ろしく浅い考えといわざるを得ない。
政府の孤独問題においても「孤独とは人とのつながりが希薄であることが問題なのだから、大勢の仲間のいる居場所を作れば解決する」などという人がいる。つまり、集団に属せば孤独にならないという考えなのだ。
「つながり孤独」の苦しみ
友達を作れば、集団の中に所属すれば孤独を感じないなどという考えは間違いである。
友達がいようと、家族がいようと、会社に所属していようと、むしろ周りを多くの人に囲まれているからこそ感じてしまう孤独の苦しみというのがある。
それを「つながり孤独」という。
「つながり孤独」とは、一人でいる時に孤独の苦痛を感じるのではなく、大勢の中や友達同士と過ごしていても孤独を感じてしまうという人のことを指す。20ー50代の未既婚男女を対象に私が調査した結果によれば、男性よりも女性の方が「つながり孤独」を感じやすい。
男性では未婚でも3割弱、既婚は2割弱しか感じないが、女性の場合は、若いほど感じやすく、20代未婚の場合で47%、20ー30代既婚でも4割以上感じている。男性よりも女性の方が協調性が高いといわれるが、それは社会生活を送る上での様々な同調圧力に対して我慢をしがちという面と表裏一体である。
友達と過ごしていても、誰も自分のことを理解してくれていないということでかえって孤独感を募らせてしまうこともあるのだろう。若年層に多いのも、「友達と一緒なら安心」という幻想に縛られているがゆえに陥る「みんなと一緒という呪縛」ともいえる。
こうした「つながり孤独」に苦しむ人は、表面上は人とつながっているし、みんなと仲良く笑いあっているように見えるかもしれない。
しかし、その笑いは悲鳴と同じなのである。